Up 先祖溯行の構造 作成: 2017-03-28
更新: 2020-08-26


    族の「系統」のイメージ図は,族の「先祖・子孫」網羅の絵図である。
    さて,この絵図はどんなものになるか?

    手始めに,自分の「先祖」の絵図を考えてみる。

    ヒトの個体は,雄の個体と雌の個体の生殖で生ずる。
    このとき,雄の個体を「父」と呼び,雌の個体を「母」と呼ぶ。
    自分の「先祖」の絵図を,<父・母>の溯行図として考えてみる。
    この絵図は,つぎのようになる:
    世代−n では,2n の個体が並ぶ。
    1世代を20年で計算すると,1000年は50世代。,
    1000年 (50世代) 溯ると,250 の個体が並ぶ。
    50 は,0が約15個ならぶ桁数の数である:
      log10250 = ( log102 ) × 50 ≒ 0.3 × 50 = 15
    これはどのくらいの数かというと,100億の10万倍。
    「100億人口の地球が,10万個必要」という数である。

    はて,どうなっているのか?


    答えは,「<父・母>溯行図の個体には,重複がある」である。
    この重複が,先祖溯行したときの<先祖数の爆発的増加>を相殺している。
    ──つぎは,最も簡単/極端な場合 (2個体集団の近親配偶):
    また,同じ個体が複数の世代に属するということも,あり得る:
    ──つぎは,最も簡単/極端な場合:
    また,<先祖数の爆発的増加>の相殺になるわけではないが,世代−n の全個体は,同時に存在しているわけではない。
    出現の時間差がある。


    こういうわけで,「<父・母>溯行図」は,実際には図的に想像できない。──よって,ただのことばである。
    では「溯行図」は,どんなルールによるものが図的に想像可能となるか。
    ここで,「父系図・母系図」の出番となる。
    父系図は,自分 - 父 - 父の父 - 父の父の父 - ‥‥‥ と溯行するものである。
    母系図は,自分 - 母 - 母の母 - 母の母の母 - ‥‥‥ と溯行するものである。
    これは,ともに一本の線になるから,図的に想像可能である。