Up | 悪者論 対 システム論 | 作成: 2017-02-26 更新: 2017-02-26 |
上の文は,「帝国主義者」を「商品経済」に変えると,経済学のいちおう妥当な論になる。 「帝国主義者」を主語にするのと「商品経済」を主語にするのとでは,何が違うのか。 「帝国主義者」は,主体である。 ──「腹黒い」「悪らつ」の主語になる。 「商品経済」は,主体でない。 ──「腹黒い」「悪らつ」の主語にはならない。 重力によって物が落ちる。 それは,重力が「腹黒い」「悪らつ」だからではない。 商品経済によってアイヌの生活様式が保たなくなる。 それは,商品経済が「腹黒い」「悪らつ」だからではない。 重力と闘うことは,できない。 自分は重力で生かされているものだからである。 商品経済と闘うことはできない。 自分は商品経済で生かされているものだからである。 「反帝」イデオロギーに何をここで対置したのか,読者にはわかるだろうか。 悪者論に,システム論を対置したのである。
いまの時代に「アイヌ」を自称している者は,悪者論を世界観にしている者たちである。 システム論/科学だと,「侵入してこなければ」「侵されぬ方が良かった」の言い方はナンセンスになる。 システムのダイナミクスは,<侵す・侵さない>といった意志ではないからである。 悪者論は,《世の中には悪い奴がいて,その悪い奴が世の中を悪くしているという》という世界観である。 システム論は,《現前は,システムのダイナミクスの現象である》の世界観である。 科学は,システム論である。 翻って,悪者論はイデオロギーである。 ──ちなみに,マルクス主義者のバイブルの『資本論』は,悪者論ではなくシステム論である。 |