Up 共通祖先 作成: 2019-02-15
更新: 2019-02-15


    「系統」の数理には,つぎの含蓄がある:
      「任意の2個体A, Bの先祖溯行は,
        共通祖先としての一つのカップル (M, N) に至る」
    実際,ホモサピエンス種の中で共通祖先に到達しなければ,このA, Bは別のヒト属だということになってしまう。 ヒト属の中で共通祖先に到達しなければ,A, Bは別の動物科だということになってしまう,‥‥‥。

    しかもこの共通祖先は,そんなに代を重ねなくても,到達する。
    それは,先祖溯行の図が示唆する:
    実際,この図式──重複を無視した図式──だと,先祖はねずみ算式に増えていく。 単純計算で,全人口規模の数にたちまち達してしまう。


    「アイヌの子孫」とは,「先祖のうちに一人でもアイヌ文化を (一時的にでも) 生きた者がいる者」のことである。
    そのアイヌ文化は,過去のものである。
    そこで今日,A, Bに対し,「それぞれの先祖溯行で,Aにはアイヌ文化をかすっている者が見つかるが,Bには見つからない」を言うことにどんな意味があるのか,というはなしになるわけである。