Up | おわりに──生態学から | 作成: 2019-02-16 更新: 2019-02-16 |
「アイヌ」関連で主題化されてくるものを,それぞれ生態学する──これがアイヌ学である。 現前の "アイヌ"イデオロギーや「アイヌ利権」,「先住民族」立法等は,この構えで考えるものである。 これらは,人の生態である。 現前は,成るべくして現前である。 「成るべくして」の意味は,「系の自己組織化ダイナミクスがその都度実現する均衡安定相」である。 イデオロギーが世界を「真偽・善悪」で理解しようとする思考様式であるのに対し,生態学は世界をダイナミクスで理解しようとする思考様式──即ち,科学──である。 例えば,「先住民族」立法。 これは,歴史の改竄である。 しかし,政治のファーストプライオリティは,「事実」ではない。 政治が自分に都合よく歴史をつくるのは,過去のはなしではない。 いまは,「景気」が政府の最重要課題である。 この中に「観光」の位置づけがある。 「北海道観光」では,これの浮揚に「アイヌ観光」を考える。 それには,「アイヌ」を十分に格付けする必要がある。 これが「先住民族」を立てる意味である。 「先住民族」は,考古学者にもフリーパスである。 学者のダブルスタンダード,複数スタンダードも,なんら不思議ではない。 ひとのファーストプライオリティは,処世である。 「先住民族」立法は,以上のように生態学する主題である。 「先住民族」立法の歴史改竄は,処世を損なわずにこれを論じられる時代になって,論じられることになる。 それはまだ先のことである。 ひとは,自分の生きているうちにはっきりした形を見たがるものであるが,これは間違いである。 生態学の要諦は, 「達観」である。 この生態学は,人物を多様に登場させることになる。 未熟な者は,支持すべき者・批判すべき者を定める。 これはイデオロギーの思考様式である。 アイヌ学は,科学である。 歴史の中の登場人物は,つぎのように捉えるものである: そうとは知らずに,一つを選ばされ演じている》 この『アイヌ学入門』にしても,<役を一つを選ばされ演じている>として,これを作っているわけである。 この<役>は,<この時代がどのような時代であるかを,文字をもって伝える>である。 想定する読者には,後世の者が含まれている。
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