Up 「反エスノサイド」 作成: 2019-02-11
更新: 2019-02-11


      貝澤正 (1972)
    北海道の長い歴史のなかで、大自然との闘いを闘い抜いて生き続けてきたアイヌ。
    北海道の大地を守り続けてきたのはアイヌだった。
    もっとも無智蒙昧で非文明的な民族に支配されて三百年
    アイヌの悲劇はこのことによって起こされた。
    アイヌの持っていたすべてのものは収奪され、アイヌは抹殺されてしまった
    エカシ達が文字を知り、文明に近づこうとして学校を作ったが、この学校の教育はアイヌに卑屈感を植えつけ、日本人化を押しつけ、無知と貧困の賂印を押し、最底辺に追い込んでしまった。
     世界の植民地支配の歴史をあまり知らないが、原住民族に対して日本の支配者のとった支配は、おそらく世界植民史上類例のない悪虐非道ではなかったかと思う。
    アイヌは『旧土人保護法』という悪法の隠にかくされて、すべてのものを収奪されてしまったのだ。


      野村義一 (1992)
    各国の政府代表部の皆さん、そして、兄弟姉妹である先住民族の代表の皆さんにアイヌ民族を代表して、心からご挨拶を申し上げます。
    ‥‥‥ 第二次世界大戦が終わると、日本は民主国家に生まれ変わりましたが、同化主義政策はそのまま継続され、ひどい差別や経済格差は依然として残っています。
    私たちアイヌ民族は、1988年以来、民族の尊厳と民族の権利を最低限保障する法律の制定を政府に求めていますが、私たちの権利を先住民族の権利と考えてこなかった日本では、極めて不幸なことに、私たちのこうした状況についてさえ政府は積極的に検討しようとしないのです。
    ‥‥‥
    日本のような同化主義の強い産業社会に暮らす先住民族として、アイヌ民族は、さまざまな民族根絶政策(エスノサイド)に対して、国連が先住民族の権利を保障する国際基準を早急に設定するよう要請いたします。
    また、先住民族の権利を考慮する伝統が弱いアジア地域の先住民族として、アイヌ民族は、国連が先住民族の権利状況を監視する国際機関を一日も早く確立し、その運営のために各国が積極的な財政措置を講じるよう要請いたします。



    引用文献
    • 貝澤正 (1972) :『近代民衆の記録5 アイヌ』付月報, 1972
      • 新谷行『アイヌ民族抵抗史 増補』, 三一書房, 1977, pp.275,276.
    • 野村義一 (1992) :「国連総会記念演説」(アイヌ協会理事長), 1992-12-10