- 『蝦夷国報告書』
- Diogo Carvalho (1578-1624) 著
Hubert, Cieslik (1914-1998) 編,岡本良知 (1900-1972) 訳
『北方探検記―元和年間に於ける外国人の蝦夷報告書』吉川弘文館, 1962
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蝦夷には将軍のようなその国全体を治め、かつ万民が服従する総統治者もいないし,また日本の国にあるような,その国を分轄して所有している特種な大名といったものもない。
もし蝦夷が韃靼に合併されていたり,あるいはこれに隣接していたとすれば,このような総統治者というものについて,たとえ隷属しないとしても,少なくとも幾分かは知るところがあったであろう。
ところが蝦夷では各人が単に自己の家の主人であるか,せいぜい小人数の使用人の主人でしかなく,しかも誰もが他に支配者のいることなどは認めもしないし,また他の国にそうした統治者がいることも知らないのである。
それでこれらのことを考えると、蝦夷という国はあらゆる他国から分離されており,これらとは何等の関係をもっていないことが自分には明らかになった。
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北海道大学北方資料データベースから引用:
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高倉新一郎 (1959), p.107
十六世記の半ば頃我が国に入った耶蘇会士は、間もなく日本の北に位置する蝦夷島のことを聞き、そこに住み、日輸を拝し火葬をしない異民族蝦夷に興味を持ち、元和三年(1617) にはその一人ジェロラモ=デ=アンジェリスがこの地に渡って、詳細な報告書と共に、地図さえ残しているが、それはアジア海岸からアメリカ海岸にまたがる巨大な国としてであった。
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- 参考文献
- 高倉新一郎 (1959) :『蝦夷地』, 至文堂 (日本歴史新書), 1959
- 参考ウェブサイト
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