Up 平村ペンリウク 1833-1903 作成: 2018-11-17
更新: 2019-03-28


http://mapping.cmspiker.com/japan/ から引用:

Chief Penri and his Companions outside his Hut at Piratori

      松浦武四郎 (1858), p.675
    家主アユツケ 四十八才
    妻イヌリカ 四十一才
    聟ヘンリウク 二十六才
    妻ユルワヌ 十九才
    妹ウサレモンシ 十才
    妹フウサンケ 九才
    弟アンクニトク 三オ
    等家内七人にて暮し、
    其内聟夫婦は雇に下られ居たり



      Bird, Isabella (1880), LETTER XXXV--(Continued)
    A short time ago Mr. Von Siebold and Count Diesbach galloped up on their return from Biratori, the Aino village to which I am going ;
    ‥‥‥ They have brought down with them the chief, Benri, a superb but dissipated-looking savage.
     ‥‥‥
    I have been introduced to Benri, the chief; and, though he does not return for a day or two, he will send a message along with us which will ensure me hospitality.

      Batchelor, John (1927), pp.54,55.
    ピラトリ (平取) にいる時は、私は何時もペンリ首長夫妻の家に厄介になっていた。 そこに滞在している間、私は首長から実に多くのことを教えて貰うことが出来た。
    世襲の老首長が亡くなったために、彼がこの土地の首長を務めていた。
    彼をよく観察しているうちに、アイヌの首長となる必要条件とは、逞しく頑丈な体格で、腕力が強く、鋭い目をしていて、機転がよくきき、命令のよくとどく太い声の持ち主でなければならないという結論を得るに至った。 この条件は、間違いなく彼には十分に備わっていた。‥‥‥
    私は何ヶ月もの間彼の家の厄介になり、そこで彼が首長としての細々(こまごま)とした差配、裁定の見事なお手並みの数々を見せてもらった。
    そんな彼の気配りや命令に従わない者がいたら、罰が当たっても仕方あるまいと私は思うのであった。
    ペンリ首長の家に初めて着いた時すぐに、私は彼にアイヌ語を教えてもらうことを依頼したが、間もなく彼が、こちらのいいたいことをすぐに察してくれる大変機転のきく人物であることがわかった。
    それでも、お互いに言葉が通じなくなっていらいらしながら顔を見つめ合うこともあった。 そんな時、私たちは家から出て丘の上まで散歩に出かけた。 こうして歩きながら、私は彼からアイヌ語を教わった。

      Batchelor, John (1901), pp.450, 451
     あるとき、アイヌの村長 (チーフ) とともに森のなかを歩いているとき、彼が道の片側から遠くない特別の地点に近づくことに強く反対するのに気づいた。
    私がなにを言っても、彼はその場所近くに行こうとしなかった。
    彼はまた私が行かないか非常に心配していた。
    たくさん質問し、なだめすかした後に、彼はついに、こわいからだと私に白状した。 しばらく前に、一人の人がそこに埋葬されたから恐ろしいのだと言った。
    さらに尋問すると、彼がその墓を避けているのは、彼の種族のすべての他の人々と同じく、死者の霊、あるいは魂が依然として生きていると彼が信じているためであることに気づいた。
    霊は、肉体が横たえられた墓とそのすぐまわりに出没すると考えられているし、また霊は、肉体の休息場所の近くで見つかった人にはだれであろうと、その精神に魔法をかけるし、さらにその肉体に危害を加える力をもっているだけでなく、その霊が女の霊ならとくに、機会があり次第そうする意志をもっていると考えられている。
    私に同伴した村長は、ピラトリ (平取) のぺンリだった。