Up なわばりの機能 作成: 2019-01-13
更新: 2019-01-13


    子育ては,子どもに食餌をコンスタントに供給できることが必要になる。
    なわばりは,これを実現するためのものである。

    ただしカラスの場合は,子育てが済んでも,なわばりが維持される。
    このときのなわばりは,《食餌の獲得で争わないようにする》に役立っている。

    わたしの家周辺をなわばりにしているカラスはハシボソガラス (「個体01」) であるが,つぎの実験結果を──100%の再現性を以て──得ている:
     
    実験: 個体01 が電線のいつもの場所にいるとき,そこから見えるところに餌を置き,そして離れる。
    結果:
     A.  周りに他のカラスがいないときは,個体01 は餌を取りに降りて来る
     B.  ふつうは,ハシブトガラスが1わないし2わ飛んできて,餌からの距離が個体01 と同じくらいのところにとまる。
    このときは,つぎの3通りになる──ほとんどが (B1) であり,そして (B3) はごく稀である:
    (B1)  個体01 は,行動しない。 ハシブトガラスは, しばらくして, あきらめたふうに飛び去っていく。
    (B2)  個体01 が餌を取りに降りて来る。 ハシブトガラスは, 個体01 が餌を取るのを見ているだけ。そして飛び去る。
    (B3)  ハシブトガラスが餌を欲しそうに, 餌に向かうような飛行をする。 個体01 は, これを追い払う。

    B からの推理として,ハシブトガラスは,個体01 を自分より優位の者と定めている。
    ハシボソガラスは,われ先に餌を取ろうとしてではなく,《個体01 が餌を捨て置く,あるいは食べ残す》を期待してやってくる。

    (B1) の個体01 の<行動しない>は,「ハシブトガラスを牽制している」と解釈される。
    そして, (B2) より (B1) が選ばれるのは,「食べているところを見られたくないから」と解釈される。
    実際,餌が多いときは餌を隠す行動 (「貯食」) に及ぶわけであるが,これは見られては困るものである。