Up 今後30年以内に起きる確率は70% 作成: 2023-10-30
更新: 2023-11-01


    政府の地震調査研究推進本部 (「地震本部」) 地震調査委員会が,「南関東でM7クラスの地震が今後30年以内に起きる確率は70%」と伝えている。(「首都圏の大地震の姿」)
    「確率は70%」の意味は?

    地震発生予想は,「これまでの地震発生の時間間隔パターンが定常的ならば,つぎの発生は○年の前後になる」で考える。
    関東地震のこれまでの発生は:
NHK「首都直下地震はいつ?「今後30年で70%」の根拠は」から引用:

    このパターンを未来に延長すると,

    これを見ると,1782年の M7.0 に対応する地震がまだ起こっていない。
    そこで,今にも起こるんじゃないか,となる。
    この「今にも起こるんじゃないか」を,地震学は確率で表そうとする。


    「確率」は,考えるのが難しい。
    「コインを投げて表が出る確率が 70%」では,1000回コインを投げればほぼ700回表が出て,±100回の違いにはまずならない,と考えることになる。
    しかし100回だと, 70回とは±10回以上の違いがでるかも知れない,と考えることになる。
    10回だと,7回の±1回の違いに収まることはまずない,と考えることになる。
    試行回数に依存するのである。

    「地震発生確率70%」も,「試行回数」を稼いで計算していることになる。
    上の図の●のような大地震では, 「試行回数」を稼げない。
    大地震発生のコンテクストを分析し,地震発生の統計項目を細かくして, 「試行回数」を稼げるようにする。
    この統計データに対し,確率の計算式を定める。
    そして計算したら「70%」になったというわけである。


    というわけで,「確率は70%」の意味は,ことばになるものではない。
    もとは計算式なので,ことばで言い表そうとしても無駄である。
    われわれとしては,「起こる起こらないはトントン」と「絶対起こる」の中ほど──「まあまあ起こりやすい」──と受け取ればよい。



首都直下地震モデル検討会「首都直下のM7クラスの地震及び相模トラフ沿いのM8クラスの地震等の震源断層モデルと震度分布・津波高等に関する報告書 (図表集)」, p.33 から引用:
(画像クリックで,拡大表示へ)
南関東で発生した地震 (M6以上, 1600年以降)