Up 地下インフラ浸水は,都心の終わり 作成: 2023-11-03
更新: 2023-11-06


    防潮堤を越えた津波は,(おか)を走る。
    それは,地面の高低に沿って流れる格好になり,全体がいっしょの高さで流れるわけではない。
    よって,下の地図の色がついている地帯で海に近いところは,すべて浸水する。
    それより高いところでも,地形の妙で,津波が届くことはある。
東京港海岸保全施設整備計画, 2012 から引用

    津波の泥水は,地下道路・地下街・地下鉄の地上出入口から,落下する。
    地下インフラは,泥水で埋まる。

    特に,地下鉄に流れ込んだ泥水は,圧力次第で,トンネルを通って標高の高い地下空間にも流れる。
    地上が津波で浸水しないところでも,そこの地下空間の浸水はあり得る。
地下鉄路線図
背景の地図は,地理院地図から引用


    地下インフラが埋まると,都心は機能しなくなる。
    都心で生業が立たなくなった者は,他の地で生業を立て直さねばならない。
    ひとは日々生活せねばならないからである。
    彼らは,「復興」を当てにして待つということはできない。
    実際「復興」は,「復興」を生業にしようとする者たち (特に公務員) のためである。

    ひとの生活は,経済である。
    経済は,コスト対パフォーマンス比のよい方を択る。
    機能しなくなった都心は,捨てられる。
    こうして,津波による地下インフラ埋没は,都心の終わりになるのである。


    東京は関東大震災から復興し,東京大空襲から復興した。
    ではなぜ,首都直下地震津波からの都心復興はないのか。
    都心が,地下の巨大インフラによって己を成り立たせるものになったからである。
    首都直下地震津波は,その地下インフラを泥水で埋める。
    地下インフラはこれでお終いである。
    地下インフラが泥水に埋没することは,それが壊れるだけでなく,アクセス不能・修理不能になることだからである。