Up 地階が津波で埋まるのにかかる時間 作成: 2023-11-16
更新: 2023-11-16


    津波の陸上での速さは,「秒速8m,時速にして約30km」と言われている。
    いま,防潮堤を越えた津波が,高さ1m,時速30km (秒速8m) で押し寄せてくるとする。
    これは,断面 \(1m^2 \) あたり 毎秒 \( 8 m^3 \) の水が流れるということ。

    この水が建造物の入口に流れ込むときの「\(1m^2 \) あたり 毎秒 \( v\ m^3 \)」の \( v \) は,一般に上の 8 より大きくなる。
    水流が狭められることで,速度が増すからである。


      国立国会図書館「東京本館の書庫」.から引用
    昭和61(1986)年に竣工した新館では、書庫はすべて地下に配置され、東西135m、南北43mの広さで、地下8階(基礎までの深さ約30m)まであります。
    地下にあることで、年間を通じて外気温度の影響が少なく、エネルギー効率のよい建築物となっています。
    また、地震による揺れが少なく保存環境にも適した環境といえます。
    地下の外壁と地上1階の床に防水が施されており、地上と地下の両方から浸水を防いでいます。


     同上

    津波で新館に流れ込んでくる泥水が,つぎのようだとしよう:
        高さ:\(1\ m \)
        総幅:\(20\ m \)
        流量:\(1\ m^2 \) あたり毎秒 \( 10\ m^3 \)
    また,新館地下の容積を
        135 (東西) x 43 (南北) x 30 (高さ) = 174150 \( m^3 \)
    の 90% と見積もって,
        \( 156735\ m^3 \)
    とする。
    このとき,泥水流入が何分続けば,新館地下は埋没するか?

    \( t \) 分とすると,
      \[ 156735 = ( 10 \times ( 1 \times 20 ) ) \times ( 60 \times t ) \\ \ \ \ \Longrightarrow t = 13 \]
    津波が13分持続するというのは特別のことではないから,津波による国立国会図書館新館地下の泥水没も,至極あたりまえのことなのある。