Up 津波とは 作成: 2023-11-24
更新: 2023-11-24


    津波の波も,基本は「スタジアムの観衆のウェーブ」と同じ。
    海底の地殻に縦方向の動きがあると,この上の海水がこれに連動する。
    そして水分子の引力によって,隣の海水が連動する。
    こうして波ができる。( 波とは)

    ただし水の波の場合は, 「スタジアムの観衆のウェーブ」より複雑になる。
    体積の帳尻を合わせねばならないからである。

    水が持ち上がると,上方に突出した体積を,隣の水が補うことになる。
    即ち,持ち上がった水のほうに引き寄せられる。
    水が下に凹むときも同じで,凹んだ体積を隣の水が補う。
    ただしこの場合は,外に押し出される格好になる。
    このように,津波には海水の横の動きが伴う。
    津波が来るときは,岸から海水が一旦退き,そして押し寄せる」と言われるが,それはこのメカニズムによる。


    津波は(おか)に近づくと高さを増すが,それも「体積の帳尻を合わせる」が理由である。
    陸に近づくとは,水が浅くなるということだからである。

    陸に近づくと波の規則性は破れ,津波は (1) 海面の上昇と (2) 陸に向かう流れになる。
    この流れは川の流れと同じであるから,これを堰き止めようとするものの前では,さらに盛り上がって越える。
    盛り上がるのは,後がつかえているからである。


    ひとは「津波高1m」と聞くと「なんだ,たった1m か」と思う。
    そう思うのは,「奥行き」の考えが抜けているからである。
    津波は,波長が長い──数キロから数百キロ。
    このため,押し寄せてくる海水は奥行きが長い。

    高さは1m だが奥行きが仮に10 km の海水が防潮堤を越えて陸を走ったら,さてどんなことに?
    これが「なんだ,たった1mか」の内容である。