Up 重症化・死亡には,理由がある 作成: 2020-05-22
更新: 2020-05-22


    ニューヨークのいまは,東京のあした
    アメリカのどこかの「専門家」にこう言わせて,自粛を煽る。
    NHKニュースのよくやる手である。

    ひとはこれを視せられて,萎縮する。
    東京と比較したときの「ニューヨークの特殊性」に考えが行かない。
    ただただ思考停止する。

    「1を聞いて十を知る」のはインテリジェンスだが,ひとは1を聞かせるとかってに全てにしてくれるのである。
    これが,メディアのプロパガンダ/デマゴギーが成立するしくみである。


    重症化・死亡には,理由がある。
    重症化・死亡の理由は,<抵抗力が弱い>である。

    <抵抗力が弱い>には,つぎの3態がある:
    • 貧困
    • 高齢・持病持ち
    • 免疫が無い・乏しい
    「ニューヨークの特殊性」は,このそれぞれの「特殊性」である。


    (1) <貧困>に関して
      日本経済新聞, 2020-05-20
    NY市、所得・地域別に格差鮮明 新型コロナの感染
    新型コロナウイルスの感染の中心地であるニューヨーク市で、所得層ごとの感染状況の格差が鮮明になっている。 同市が19日までに公表した郵便番号(ジップコード)別の地域データによると、相対的に低所得者が多く住むブロンクス区の一部で感染者数や死者が特に多いことが分かった。 デブラシオ市長はこうした地区で医療サービスの強化を表明している。
    低所得者向けのアパートが並ぶあるブルックリン区の地域では死者数が76人に達し、死亡率は人口10万人あたりで612人と市内で最も高かった。 一方、高所得者の多いマンハッタン島のウォール街周辺は相対的に人口も少なく、死者ゼロの地区も複数ある。
    ニューヨーク市は単身世帯で年収約1万5千ドル(167万円)以下の人を貧困者と定めている。 米政治専門誌ポリティコによると、貧困率1割以下の地域の死亡率は人口10万人当たり100人だった。 これに対し、貧困率が3割以上の地域では、死亡率が2倍以上の232人だったという。
     ‥‥‥


    (2) <高齢・持病持ち>に関して
      読売新聞, 2020-05-22
    米介護施設の死者 突出
    感染対策に不備・人手も不足
     米国では、新型コロナウイルス感染による介護施設での死者の多さが際立つ。 全米の死者約9万人のうち、施設での死者が3分の1を占めるというデータもある。 手洗いや感染者の隔離など、基本的な感染防止策の不徹底や、職員の劣悪な労働環境など、長年放置されてきた施設の問題点が露呈したとの指摘がある。 遺族からは施設の対応の不備を非難する声が相次いでいる。
    2万8000人超か 米報道
     ニューヨーク・タイムズ紙の集計 (5月11日現在) では、全米約7700ある長期滞在型施設の入居者と施設職員の約15万3000人が感染し、少なくとも2万8100人が死亡した。 約9万人に上る全米の死者全体の約3分の1を占める。 一つの施設で70人超が死亡した施設もある。
     新型コロナの重症化の要因としては、①高齢②呼吸器疾患や高血圧などの持病③喫煙──などが挙げられている。 高齢で持病のある介護施設の利用者には、重症化の危険がつきまとう。
     加えて、介護施設が以前から感染症対策上の問題を抱えていたとも指摘されている。 米議会の政府監査院(GAO)は20日、新型コロナウイルスが感染拡大前、過去2年間で当局が検査に入った米国内の介護施設のうち、約4割で感染対策の不備があったと結論づける報告書を公表した。
     具体的には、手洗いが適切に行われていないケースや、集団感染が発生した際に患者を隔離していないなど、基本的な対策が実施されていない点が目立つ。 報告書は「こうした不備が、新型コロナウイルスを含む感染症の拡大防止の際、致命的になりうる」と指摘した。
     対策が十分に行われない背景には、介護施設の職員数の不足や劣悪な労働環境が指摘されている。
     高齢者施設の環境改善を訴える非営利団体のリチャード・モロット事務局長(57)によると、米国の介護施設では「看護助手」と呼ばれる職員が入居者の90%のケアを担う。 一度に数十人の介護にあたる重労働にもかかわらず、「最低賃金レベルの報酬しか受け取っていない」のだという。 複数の介護施設で働いたり、ウーバーの運転手やピザの配達を兼業したりする職員もいるのが実情だ。
     施設での死者数が全米最多のニューヨーク州のアンドリュー・クオモ知事は今月10日、介護施設の職員全員に週2回のウイルス検査を義務づけると発表した。

      The New York Times, 2020-05-11
    One-Third of All U.S. Coronavirus Deaths Are Nursing Home Residents or Workers
    At least 28,100 residents and workers have died from the coronavirus at nursing homes and other long-term care facilities for older adults in the United States, according to a New York Times database. The virus so far has infected more than 153,000 at some 7,700 facilities.
    Nursing home populations are at a high risk of being infected by — and dying from — the coronavirus, according to the Centers for Disease Control and Prevention. Covid-19, the disease caused by the coronavirus, is known to be particularly lethal to older adults with underlying health conditions, and can spread more easily through congregate facilities, where many people live in a confined environment and workers move from room to room.
    While just 11 percent of the country’s cases have occurred in long-term care facilities, deaths related to Covid-19 in these facilities account for more than a third of the country’s pandemic fatalities. A third of U.S. coronavirus deaths are linked to long-term care facilities.
     ‥‥‥


    (3) <免疫が無い・乏しい>に関して
    これはおそらく,「<ウィルスとの共生>の地域性」「交差免疫」「適応=進化」等の概念で説明される。
    そして「ニューヨーク」は,「東京」と比べたとき,「新型コロナ」に対する免疫が無い・乏しいの部類になるというわけである。