Up 「ブラジル:新型コロナ死者2万人」の読み方 作成: 2020-05-24
更新: 2020-05-24


      読売新聞, 2020-05-24
    コロナ死者数 ブラジル2万人
     【リオデジャネイロ=淵上隆悠】ブラジル政府は21日、新型コロナウイルス感染による死者数が2万47人になったと発表した。 死者が2万人を超えたのは、米国や英国、イタリアなどに次いで6か国目だ。
     ブラジルでは感染者数も30万人を超えている。 1日の新規感染者数が1万8000人前後で推移しており、ロシアを抜いて世界で2番目に感染者が多い国となる勢いだ。 経済活動の再開に積極的なジャイル・ボルソナロ大統領は21日も、インターネット中継を通じ、「ウイルスを恐れる方がストレスになり、より死者が増える」,と持論を展開した。


    この記事の意趣は,「自粛しないとブラジルのようになりますよ」である。
    「自粛」プロパガンダである。

    「ブラジルのよう」がどんなものかは,つぎに書いた:
    よって繰り返さないが,「感染者数30万人」を考えるための比較値として,つぎの数値だけ示しておく:
      日本の2018年のインフルエンザ罹患者数は,推計値で年間1千万人」


    上の記事が「自粛」プロパガンダであるというのは,読者につぎのように思わせているからである:
      ブラジルの人の生活は,日本のよう
      リオデジャネイロの人の生活は,東京のよう

    実際はどうか。
    つぎのようになっている:
      Wikipedia,「ファヴェーラ」
    ブラジルにおいてスラムや貧民街を指す言葉。
    ブラジルのほぼすべての大都市および中規模都市の郊外には、不法居住者の建てた小屋の並ぶファヴェーラや、既存の町がスラム化したファヴェーラが存在する
    中でもリオデジャネイロ市のファヴェーラがもっとも有名で、カリオカ(リオデジャネイロっ子)の4人に1人はファヴェーラに住むとされる。
     ‥‥‥
    ファヴェーラの建物は非常に建て込んでおり一軒一軒も狭く、地形に合わせた階段や通路が家々の間を通っている。
     ‥‥‥
    おおむね衛生状態は悪く下水処理や病気に悩まされている
     ‥‥‥
    ファヴェーラの人々は、ファヴェーラの外の都心などで低賃金の仕事に就くことが多いが、失業やドラッグ、ギャング同士の抗争といった社会問題も深刻である。


    「4人に1人がファヴェーラに住む」「ファヴェーラの外の都心などで低賃金の仕事に就くことが多い」の条件で「ステイホーム」をやったらどうなるか?
    その日の糧が無くなる。
    食料配給などしようものなら,数万人コンサートをあっちこっちで開くみたいになる。
    それ以前に,大混乱になって収拾がつかなくなる。
    現金給付も同じことである──大混乱になって収拾がつかなくなる。

    また,日本がやっている財政出動は,「国の借金はかまわない」理論に基づいている。 これは世界の中では異常なことであって,ブラジルもこれと同じにせよとはならないものである。


    ブラジルの「ただの風邪」路線は,理に適ったことをやっているのである。
    翻って,「現段階で感染者30万人死者2万人」が,ブラジルの「ただの風邪」の定義になる。

    念のため:
    ただの風邪」とは,それにはかまわず生活を維持するところの風邪を謂う。
    軽い病気ということではない。
    実際,風邪は,「ヒトコロナウィルス」と呼んでいるコロナウィルスの感染症である。
    いまは言われなくなったが,むかしは「風邪は万病のもと」と言っていたのである。


    「新型コロナ」は,日本においても「ただの風邪」である。
    「多くが無症状や軽症──死に至るのは,高齢者か持病持ち」なのである。
    しかしこのことは,はっきり言われない。
    なぜか。
    これが明示されると都合の悪い者たちが,情報をリードしているからである。

    ──もっとも,ウィルスが何かを考えたことの無いアタマや思考停止するアタマには,明示されても入ってはいかないわけであるが。

     例 : 《教壇の教師の前にビニールシートを垂れ下げて,生徒と仕切る》を大まじめで考え出した学校教員と,これを報じた NHKニュース。