Up 「病床逼迫」のしくみ 作成: 2020-11-20
更新: 2020-11-20


    「専門家」やマスコミが「危機」を訴えるのは,ふつうのことである。
    「危機」を訴えるのは,彼らの体質である。
    肝心なことは,これに簡単に騙されないこと・乗ってしまわないことである。

    いまの状況は,知事たちが「危機」キャンペーンに乗ってしまったことが,元である。
    彼らは,最初「風評被害」を訴えた。
    つぎに,これが「新型コロナの危険の隠蔽」として批判される情勢を見て,「危機」を訴える側にシフトした。
    政府に緊急事態宣言を求め,政府に認めさせた。
    そして,緊急事態管制のもとで,地元の経済を壊していく。

    彼らは,「危機」キャンペーンと経済破壊の交換がまったく割の合わないものであることを,しだいに学習していく。
    そしていまは,以前ならすぐに「緊急事態」となるべき「感染拡大」の数値に際しても,経済に不利となるようななことは言わなくなっている。


    新型コロナ感染者は,遍在している。
    <掘り起こせばいくらでも出てくる>というふうに存在している。

    東京都の場合,検査数に対する陽性者数の割合──この意味での「陽性率」──はつぎのように推移している:
https://stopcovid19.metro.tokyo.lg.jp/cards/positive-rate/ より:
    だいたい5%で推移しているので,「1日の感染者数 1000人」にするには,1日の検査数を2万にすればよい。


    「医療崩壊」の意味は,「病床を遣り繰りできない」である。
    いまの制度では,陽性者は入院措置になる。
    無症状・軽症でも,病床をあてがわねばならない。
    東京は無症状・軽症者をホテルに送り込んでいるが,ホテルのベッドの位置づけは「病床」である。
    「病床逼迫」の実態は,この<無駄な>病床の遣り繰りなのである。
    自分たちが要求した制度で,自縄自縛になっているわけである。

    いまはこのからくりが分かってきているので,知事たちも以前のような騒ぎ方はしなくなっている。
    したがって,「危機」キャンペーンを張ってきたマスコミは,いまは「危機」のことばを医療関係者から引き出すしかない。
    感染者掘り出しの数が増えて困るのは,病床をやりくりせねばならない病院だからである:
      読売新聞, 2020-11-19
    「病床逼迫阻止へ正念場」
      感染2000人超で医療関係者
    「急激な感染拡大が生じている。これまで経験したことがない数で、極めて厳しい状況だ」
     大阪府が18日夕に開いた専門家らによる新型コロナの対策協議会で、府健康医療部の藤井睦子部長は危機感をあらわにした
     府内では1日あたり250人以上の感染者が確認される日が続いており、直近1週間の新規感染者数(人口10万人あたり)は前週比1.6倍。 北海道や東京都などを上回るぺースで増えている。
     17日時点の病床使用率は55.3%となった。 協議会で府が示した試算では、前週比1.5倍のぺースで新規感染者が増加し続ければ来月3日には軽症者用の入院病床が足りなくなる。 府はピーク時に確保できる最大病床数を17日時点で1405床と想定。 医療機関にコロナ患者用の病床を増やすよう協力を求めている。
     北海道では、17日の病床使用率が72%と、前週の47%から一気に増加。 道の担当者は「道内の感染者は全国的にみても多い。大変に厳しい状況となっており、道民に引き続き感染対策をお願いしたい」と話した。
     道内では今月6日、旭川市の慶友会吉田病院でクラスターが発生。18日現在で入院患者や職員ら66人の感染が確認された。 市内の感染症病床は計約100床のうち7割近くが埋まるなど、切迫感が高まっている。
     地域によって逼迫具合にばらつきがあるが、日本医師会の中川俊男会長は、18日の記者会見で、「医療提供体制を守ることができるかの正念場だ」と訴えた


    この記事によると,東京都は「最大病床数 4000」ということである。
    1日の検査数を2万にすると,1日の感染者数が1000人。
    この感染者を病床に4日以上とどめれば,最大病床数超え,即ち「医療崩壊」──という計算になる。
    翻って,「医療崩壊」にしたくないなら,感染者掘り起こしはほどほどにしておかねばならない,というわけである。