Up 「緊急事態宣言要求」が世論になるしくみ 作成: 2021-01-05
更新: 2021-01-05


    緊急事態管制になると,生活に困窮する者が出てくる。
    一方,マスコミによる世論調査は,緊急事態宣言を求める声,GoTo停止を求める声が,圧倒的多数になる。

    こうなるのは,緊急事態管制が生活困窮と直結する者が,少数派になるからである。
    失業・破産が自分の問題にならない者が,圧倒的多数を占めるのである。

    また,ひとは,声を求められると<善人>を演じるようになっている。
    ──ひとは,「命優先」をパフォーマンスするのが善,「経済優先」の者のように振る舞うのは悪,というふうに教育されてきている。
    よって世論調査に対しては,「GoTo 停止」「緊急事態宣言をすべし」を答えてしまうのである。

    こうして世論調査は,実際の生活困窮者の声を抑圧するものになる。


    以下は,「世論」形成を考えるためのデータ。

  • 就業者数  ( 就業者数の推移 (2020年10月分まで))
『労働力調査(基本集計) 2020年(令和2年)10月分結果の概要』から
(自粛管制開始以降を,水色で示す)


  • 年齢・性別人口
総務省統計局「人口推計(2019年10月1日現在)」より



  • マスコミの「世論調査」のサンプリング方法
      朝日新聞, https://www.asahi.com/politics/yoron/rdd/
    朝日新聞社の世論調査
     朝日新聞社では、「電話」「郵送」などの方法で、国民の意見を探るさまざまな世論調査を実施しています。このうち、内閣支持率などを調べる毎月の調査や、大きな出来事があったときに実施する緊急調査は、RDD方式による電話調査で行っています。

    RDD方式とは
     「RDD」とは「ランダム・デジット・ダイヤリング(Random Digit Dialing)」の略で、コンピューターで無作為に数字を組み合わせて番号を作り、電話をかけて調査する方法です。この方式だと、電話帳に番号を掲載していない人にも調査をお願いすることができます。
     朝日新聞社では、2001年4月から内閣支持率などを調べる全国世論調査についてRDD方式に切り替えました。しかし、携帯電話の普及で固定電話を持たない人が若い世代を中心に増えてきたため、2016年7月の全国世論調査から携帯電話に対しても電話をかける方式を導入しました。ただし、携帯電話の番号には固定電話の「市外局番」のような地域情報がないため、一部の地域を対象にする形式の調査では、引き続き固定電話のみを対象にしています。

    電話番号の作り方
     固定電話の番号は[市外局番]―[市内局番]―[家庭用番号]の計10桁の数字でできています。朝日新聞社では、全国の電話帳に記載されている番号を参考にして、実際に使われている上8桁の番号をリストにして保存しています。このリストはあらかじめ、それぞれの上8桁番号がどの地域で多く使われ、電話帳にはどのぐらいの件数が掲載されているか、などの情報をもとに分類してあります。
     そして、調査に使う電話番号を実際に作る際、このリストの中から、調査対象地域や電話帳への掲載度合いなどに偏りが出ないよう工夫したうえで、上8桁の番号を無作為に選びます。  次に、残りの下2桁を00〜99の範囲で乱数を発生させて計10桁の番号を作ります。
     一方、携帯電話の番号は070、080、090から始まる11桁の数字で出来ています。総務省が公表している各携帯電話会社に割り振られた上6桁の情報を基に、残りの下5桁を00000〜99999の範囲で乱数を発生させて計11桁の番号を作ります。
     このようにして作った電話番号の中には、使われていない番号も多く含まれるため、これを自動判別するコールシステムによってふるいにかけ、残った番号を調査に使います。

    調査の進め方
     調査当日は、これらの番号に調査員が次々と電話をかけます。朝日新聞社では、機械による自動音声を使っての調査は実施していません。
     固定電話の場合、もし、電話が法人など一般世帯以外につながった場合は対象外として処理します。
     世帯に電話がつながったら、調査の趣旨を説明した後、その世帯に住んでいる有権者の人数を聞きます。コンピューターでサイコロを振る形で、その中から1人を選んで調査の対象者になってもらいます。電話に最初に出た方を対象にすると、在宅率の高い主婦やご高齢の方の回答が多くなってしまい正確な調査になりません。
     選ばれた方が不在でも、一度決めた対象者は変えず、時間を変えて複数回電話をかけます。また、すぐには応じていただけない場合でも、重ねて協力をお願いしています。これも、回答者の構成を「有権者の縮図」に近づけるためです。
     また、調査は原則午後10時まで(予約ができれば午後11時まで)行い、仕事などで帰宅が遅い方からも回答してもらえるようにしています。
     携帯電話の場合は、電話がつながったら、まず、自動車の運転中ではないかなど安全面に問題がないか確認をした上で、協力のお願いをします。留守番電話や呼び出し音だけなどの場合は時間を変えて複数回電話をかけます。

    集計方法にも工夫
     世論調査の対象となる人は、偏りなく等しい確率で選ぶ必要があります。そのため、集計の際に持っている電話の本数や世帯内に一緒に住んでいる有権者の人数などに応じて、統計的に等確率で選ばれた結果になるように以下のような調整をしています。

    電話の本数に応じた調整
     2本の電話回線を持っている場合、1本しかない場合に比べて電話がかかってくる確率は2倍になるため、得られた回答結果に対して数値を2分の1にする調整をします。

    有権者の人数に応じた調整
     固定電話の場合、電話がつながって調査対象者を選ぶ際、ひとり暮らしの世帯ではその方が対象者に選ばれるのに対し、同居する有権者が多い世帯ではそのうちの1人だけが選ばれるため、ひとり暮らしの方は調査に当たる確率が高いといえます。そのため、世帯内に一緒に住んでいる有権者の人数に応じて調整をします。

    固定電話の回答と携帯電話の回答を合算する際の調整
     固定電話と携帯電話のデータを合算する際、固定と携帯の両方を持っている方は、固定または携帯のどちらかしか持っていない方よりも調査に当たる確率が高くなるため、両方持っている方から得られた回答の重みを調整します。
     また、固定電話と携帯電話で、現在使われている番号の総数が異なり、それぞれ電話がつながる確率が違ってくるため、その調整も行っています。

    年代など
     上のような調整をしたうえで、さらに、全体として地域別、性別、年代別の構成比のゆがみをなくす補正をします。回答者の構成比が総務省発表の実態構成比と同じになるようにします。