Up | 「野戦病院」──それは変異株産生施設の形 | 作成: 2021-09-04 更新: 2021-09-04 |
それ以来,「野戦病院」を言い出す自治体が相次ぐ状況になっている。 自民党総裁選に出馬しようとする岸田は,公約の中に
さて「野戦病院」だが,これは負傷した兵士を送り込むところである。 空気感染タイプのウイルス感染症にかかった兵士は,この中には送り込まない。 ほかの者にうつしてしまうからである。 ウイルス感染症にかかった兵士を送り込む先は,隔離施設である。 そこは病院ではない。 ウイルス感染症患者に対しては,自然に治るのを待つしかない──即ち,放っておくしかない。 「野戦病院」の意味もわからないのが,政治家のインテリジェンスというわけである。 「新型コロナ」はいろいろな点で人間を写すよい鏡になってきたが,この度は政治家のインテリジェンスの程度を再確認させてくれた。 せめてもの収獲である。 しかしこの収獲で済ませておくわけにもいかない。 どうしても「野戦病院」をつくると言っているのだから,ここはその「野戦病院」の意味を考えるところである。 新型コロナにかかった者を多数集めて密に置くと,その者たちの間で新型コロナウイルスが行ったり来たりする。 体の免疫システムは,ウイルスの絶え間ない襲来と戦うことになる。 免疫反応は,ただではない。 体はこれで消耗する。 消耗した体は,ウイルスの絶え間ない襲来に堪えられなくなる。 こうして,自宅でおとなしくしていれば自然と回復したものが,「野戦病院」では重篤化することになる。 医学者なら,この「野戦病院」を「空気感染」の知見を得ることに活用すべきである。 さらに,変異株産生の実験施設に見立てるべきである。 ウイルスは細胞に侵入して,分解する。 細胞の DNA複製・タンパク質生成機能は,ウイルスの DNA/RNA(註) を大量に複製しつつそれを読んでタンパク質をつくる。 タンパク質は,自動的に集合・結合してウイルスの成体を形成する。 こうして大量のウイルス成体がつくられる。 これが,ウイルスの繁殖である。
さて,この複製では DNA/RNA の複製ミスが自然に起こる。 「突然変異」である。 変異株とは,このように確率的に自然に生み出されるものである。 そしてこのなかに,体がこれまでつくってきた免疫を無効にするもの──以下,これを改めて「変異株」と呼ぶ──が現れるというわけである。 変異株の出現は,確率事象である。 即ち,「ウイルス DNA/RNA の複製n回に対して1回」というふうになるものである。 よって,変異株を得る方法は,DNA/RNA 複製回数が膨大になるようにすることである。 変異株産生施設をもしつくるとすれば,この考えでつくることになる。 その施設はどんな形のものになるか? 「野戦病院」が,まさにびったりの形になる。 「野戦病院」の実現は,ひとがそこに入りたがるかどうかにかかっている。 この「野戦病院」は,「隔離施設」であり「変異株産生施設」だからである。 直近の「感染拡大」をもたらしている検査数の増加は,つぎがいちばんの理由である:
翻って,「野戦病院」を唱えることは,「新規感染者」数を劇的に減らす効果がある。 自治体の長や政治家がもしハッタリで「野戦病院」を唱えているのだとしたら,それはたいしたものである。 |