Up 大規模接種→ 選択圧→ 変異 作成: 2022-02-09
更新: 2022-02-10


読売新聞, 2022-02-08
 


    抗生物質は,病原菌に対してやがて効かなくなる。
    効かなくなるのは,病原菌が抗生物質が効かないものへと進化するからである。
    即ち,変異型が現れ,これに進化する。
    併せて,変異型が速やかに現れるものへと,進化する。

    なぜこうなるのか?
    生物とはこういうものだからである。
    こういうものでなければ,生物ははじめから存在していないのである。


    進化とは,つぎを内容にするものである:
          選択圧がかかる
        → 選択圧をすり抜ける変異型が現れる
        → この変異型が生き残り,他は滅びる
        → 変異型だけになる

    病原菌にとって抗生物質の意味は, 「選択圧」である。
    病原菌は,抗生物質がストレスになる。
    そして,変異という方法で,ストレスから解放されるものに進化する。

    生物は,ストレスを糧にして進化するのである。
      この主題については, 『ドラゴンボール』を最良の教科書としてお薦めする^^


    新型コロナウイルスは,人の大規模ワクチン接種を糧にして,進化する。
    変異を以てワクチンをすり抜け,変異スピードを上げることで,ワクチンをすっかり無用の長物にしてしまう。
    大規模ワクチン接種の効用は,「ウイルスを鍛える」である。

    いまひとはオミクロン株で騒いでいるが,これの前はデルタ株であった。
      デルタのつぎはイプシロンでは?
      ご心配なく。ここまでアルファからオミクロンまで順々にきている。(但し,シータ,ラムダ,ニュー,グザイは,このネーミングには不都合があるらしく,欠番)
      実際,変異株は,細かく言えばいくらでもあることになる。
      そこで,「変異株騒ぎをするに値するもの」という意味で,"Variant of Concern (VOC)" というカテゴリーを設けている。
      このカテゴリーの変異株と定められたのが,ここまでデルタ株とオミクロン株だということ。
    そして,ひとがオミクロン株で騒いでいる間に,「オミクロン株の次変異株は?」のステージが着々と進行しているというわけである。


    日本人は,変異株は外国から来るものだと思っている。
    しかし,日本は既に,ウイルスを鍛える立派なジムに成長している。
    日本発変異株の登場は,大いに「期待」できるのである。
    待つべし。