Up 主要国のGDP減の状況 (2020, 4-7月) 作成: 2020-08-02
更新: 2020-08-02


      NHK Web News, 2020-07-30
    アメリカ 4-6月GDP 年率 −32.9%
    統計開始以来最悪の水準

     ‥‥ アメリカ商務省が30日に発表したことし4月から6月までのGDPの伸び率の速報値は、年率に換算した実質で、前の3か月と比べてマイナス32.9%となりました。
    これは、四半期の統計を取り始めた第2次世界大戦後の1947年以降、最悪の水準です。
    2008年のリーマンショックで最悪の3か月間だったマイナス8%台を大幅に下回り、今回の新型ウイルスの感染拡大がアメリカ経済に与えた打撃が極めて大きいことが示されました。
     ‥‥

      読売新聞, 2020-08-01
    ユーロ圏GDP年40%減
    4〜6月 過去最大下げ幅
     欧州連合(EU) 統計局は31日、独仏などユーロ圏19か国の2020年4〜6月期の域内総生産(GDP)速報値を発表した。 物価変動の影響を除いた実質GDP(季節調整値)は前期比12.1%減、年率換算では40.3%減で、1995年の統計開始以来、最大の下げ幅となった。
     新型コロナウイルスの感染拡大を受けて外出制限や工場・店舗の閉鎖などが大規模に行われ、経済活動が停滞したことが響いた。 マイナス成長は2四半期連続。 年率のマイナス幅は1〜3月期(13.6%減)から拡大した。
     ユーロ圏主要国が同日発表した4〜6月期の実質GDPも、軒並み減少した。 フランスは前期比13.8%減で、1〜3月期(5.9%減)から下げ幅が拡大した。 イタリアは12.4%減、スペインは18.5%減だった。 30日に発表したドイツは10.1%減だった。
     ユーロ圏各国は5月から経済活動の再開を本格化させており、7〜9月期は反転が見込まれる。 ただ、スペインなどでは感染が再拡大しており、回復ぺースが鈍る可能性もある。

      日本経済新聞, 2020-07-10
    実質GDP、4〜6月23%減 民間予測
    日本経済研究センターが9日まとめた民間エコノミスト35人の経済見通し「ESPフォーキャスト」によると、2020年4〜6月期の実質国内総生産(GDP)の予測平均は前期比年率で23.53%減となった。
    リーマン・ショック後の09年1〜3月期(17.8%減)を上回る落ち込みとなる見通しだ。
     ‥‥

    日本政府からの「2020年4-6月期速報」は,8月17日発表予定となっている。 (https://www.esri.cao.go.jp/jp/sna/kouhyou/kouhyou_top.html)


    「前期比年率」について,説明しておく。

    これは「前期比を年率に換算」と説明されるが,景気が不安定・見通し不透明な時節の「前期比を年率に換算」は意味はない。
    「前期比年率」はむしろ,成長率の拡大表示──違いを大きく見せるための拡大表示──と思えばよい。
    「百分率」は小数値を百掛けして整数値にする工夫であるが,これと同じである。

    即ち,「前期比」a(%) を式
      (1+a/100)4 = 1+A/100
    で拡大したAが,「前期比年率」というわけである。
    (指数の4は,「年を4四半期 に区切る」の4。)
      例えば,a=1 のとき,
       A = ((1+0.01)4 − 1) × 100 = (1.04060401 − 1) × 100
       = 4.06
    高校数学だと,
      「小さいaに対して,(1+a)n ≒ 1+na」
    が出てくることがあるかも知れない。
    「前期比年率」は,前期比を4倍したものより少し大きい値になる。


    さて,「前期比年率」として計算されるこの成長率だが,数値自体はさほど意味が無い。
    「意味が無い」というのは,風速くらいに意味が無いということである──風の速度は,向き・大きさが絶えず変化している。
    風の強さの体感を数値化しようとするのが「風速」であるように,経済成長の強さのいまの体感を数値化しようとするのが「GDP前年比年率」である。

    実際,上記民間予測の「前期比年率で23.53%減」の数値に対し,日本政府は (「回復軌道に戻す」として)「2020年度成長4.5%減」の数値を出してきている:
      読売新聞, 2020-07-31
    20年度成長4.5%減
    政府見通し 下方修正
    リーマンより悪化
     政府は30日、2020年度の国内総生産(GDP)の成長率見通しを下方修正した。 物価変動の影響を除いた実質で、1月時点で示した前年度比1.4%増から、4.5%減へと引き下げた。 新型コロナウイルスの感染拡大で、リーマン・ショックが起こった08年度 (3.4%減) よりも経済が悪化すると見込んだ。 マイナス成長となるのは、消費税率を5%から8%に引き上げた14年度以来、6年ぶりとなる。
     安倍首相は30日に開いた経済財政諮問会議で、「国民の命と暮らし、雇用と事業を守り抜きながら、経済を回復軌道ヘ戻していくことが喫緊の課題だ」と述べた。
     ‥‥