Up 免疫は上皮生態系が基盤 : 要旨 作成: 2022-02-17
更新: 2022-02-17


    「新型コロナ死亡数」は,はっきりとした地域差がある。
    ヨーロッパ, 北南米が多く,これと比べて東アジアは少ない。
    それは,このくらい違う:
2022-01-31 まで
国・地域 人口
(億人)
死亡数累計
(人)
1億人あたり
死亡数累計
(人)
ペルー 0.3251 205,505 632,129
チェコ 0.1069 37,184 347,839
米国 3.3562 884,260 263,471
イタリア 0.6055 146,149 241,369
日本 1.2427 18,764 15,099
韓国 0.5123 6,333 12,362
台湾 0.2360 851 3,606
厚労省「新型コロナウイルス感染症の現在の状況と厚生労働省の対応について」
【4. 国外の発生状況について】にある死亡数 (累計) から

(中国は死亡数を報告してきていないが,日本・韓国・台湾並みと類推される)

    この地域差は,社会インフラの地域差を示すのではない。
    人の体の地域差を示す。
    即ち,つぎと同類である:
      Elton (1958), p.15.
    今世紀の初頭に、アメリカ合衆国東部で、クリが胴枯病菌 Endothisa parasitica に感染して枯れはじめた。
    この菌はアジアから苗木とともに運ばれたもので、アジアで1913年に発見されたのだが、その原地ではクリを枯らすには至らない菌なのである。
    しかしアメリカ東部産のクリの Castanea dentata はこの菌にたいへん弱く、菌の侵入した地域ではほとんど全滅してしまったのである。


    一方,1つの地域の中でも,「新型コロナ死亡数」ははっきりとした個体差を現す。
    即ち,死んでいるのは,自己免疫疾患質の者である。
    死亡数が高齢者に偏っているのも,高齢は自己免疫疾患と相関するからである。

    自己免疫疾患は,何が原因か?
    上皮常在微生物叢の貧困が原因である。
    したがって,つぎの結論になる:
     「 個体差は,上皮常在微生物叢が貧しいか豊かかの違い


    個体差の説明概念になるものは「上皮常在微生物叢」。
    では,地域差の説明概念になるものは?
    これもまた,「上皮常在微生物叢」である。


    ヒトの上皮は,つぎのようになっている:

    この上皮は,微生物叢になっている。
    ヒトの常在微生物の数は推理するしかないが,十兆以上の数値が言われている。
    上皮は,微生物で敷き詰められている様相である。

    上皮微生物叢は,森や草原のような生態系に見立てられる。
    ヒト上皮への新型コロナウイルスの侵入は,先ず,そこに出来上がっている生態系への侵入である。

    侵入がどの程度成るかどうかは,侵入者に対するその生態系の抵抗性で決まる。
    侵入者にとって与し易い生態系と与し難い生態系がある。

    こうして,「新型コロナ死亡数」の地域差は,つぎのようになる:
     「 地域差は,新型コロナウイルスに対し抵抗性のある上皮微生物叢とそうでない上皮微生物叢の違い


    実際,《「新型コロナ死亡数は,ヨーロッパ, 北南米に比べて東アジアが少ない》の意味することは:
     「 東アジアに棲むことは,新型コロナウイルスに対し抵抗性のある上皮微生物叢が出来上がること」

    これは,「進化─自然選択」で説明される事柄になる。
    新型コロナウイルスの棲息地は,東アジアである。
    ヒトが東アジアに棲むことは,新型コロナウイルスとの共棲バランス (「共生」) が出来上がることである。
    そしてこの共棲バランスの実現態が,上皮微生物叢である。


    新型コロナウイルスは,これと共生するのみである。
    「ただの風邪」と受け入れて,共生する。

    しかし,軍需産業はこれでは困る。
    大衆を,新型コロナウイルスとの戦いに向かわせ,ワクチン・薬漬けへと導かねばならない。

    大衆はワクチン・薬漬けをソルーションと思っている/思わされているが,もちろんこれは間違い。
    これは,新型コロナウイルスを<ワクチン・薬をたちまち無用の長物にする変異の速いウイルス>へと進化させるだけのことである。


    引用文献
    • Elton, Charles S. (1958) : The ecology of invasion by animals and plants
        Methuen & Co.Ltd, 2015.
        川那部浩哉・他[訳]『侵略の生態学』, 思索社, 1958.