Up 意味不明の手洗い・拭き取り消毒が絶対なわけ 作成: 2022-02-07
更新: 2022-02-07


    感染症対策の歴史は,迷信の歴史である。

    よく例に挙げられるのが瘴気説。
    この迷信は,空気感染タイプの感染症には合うが,体液感染タイプの感染症に対してはナンセンスになる。

    新型コロナでは,アルコールで手洗い・拭き取り消毒が絶対になっていて,これを通過しなければ公共の場に入って行けない。
    これは,新型コロナが<物に付着→それが口に>感染タイプの感染症と思われているわけである。


    ひとは,科学者が《テーブルやドアノブに付着したウィルスがアルコールで破壊される》場面を捉えているのだと思っている。
    高倍率で物が見える装置を使ったら,テーブルやドアノブにウイルスが付着しているのが見えるのだろうな」みたいなことを漠然と想っている。
    これは間違い。

    新型コロナウイルスがテーブルやドアノブに付着している場面を捉えた者はいないし,新型コロナウイルスがアルコールで破壊されている場面を捉えた者もいない。
    ウイルスは,そんなことができるものではないのである。
    小さ過ぎて,そんなことができるものではないのである。
    新型コロナウイルスがテーブルやドアノブに付着し,それがアルコール拭きによって壊される」は,妄想である。


    では,「新型コロナウイルスにはアルコール消毒」は,どこから出てきたのか?

    研究者は,ウイルスを「培養細胞 tissue-culture」という方法で増殖し,そして分離する。
    このとき,研究者に「繁殖」や「分離」が観察されているわけではない。
    後の結果から溯って,「繁殖」があり「分離」が成ったと判じるのである。

    ここに,ある研究者が,ウイルスを培養している細胞をアルコールに浸し,それから分離の処理をし,PCR をやり,ウイルス検知器にかける。
    このとき,ウイルスが検知されなかったとする。
    さて,その研究者はどんなふうに自分がやったことを成果として発表するか?
    つぎのようにである:
     「 新型コロナウイルスの感染抑止に,アルコールによる手洗い・拭き取り消毒が有効であることがわかった


    実際のところ,新型コロナウイルスでアルコール実験をした者がいるかどうかはわからない。
    おそらく,インフルエンザなどで言われていることを,ただ繰り返しているだけだろう。
    しかし大衆は,そして行政も,彼らの言を真に受けてしまう。
    飲食店なんかだと,役所から「優良店」の認証をもらうために,せっせとアルコール拭きに努めることになるというわけである。

    アルコール消毒を正義とする者──例えば NHK ──には美しいシーンだろうが,このシーンの標題は「無惨」である。
    新型コロナは,こんなものではないからである。
    新型コロナは,空気の中にある。
    空気に乗って人に吸い込まれ,そして人から吐き出されて空気に乗る。


    しかし,瘴気説が何世紀も続いたように,手洗い・拭き取り消毒はずっと絶対であり続ける。
    行政の通達文書になっているからである。
    ひとは,コンプライアンスとして,これに従う。

    ひとがコンプライアンスに即くのは,コンプライアンスに即くことがラクだからである。
    ひとは,コンプライアンスの内容に疑問をもつということがあり得るのを,知らない。
    こうして,手洗い・拭き取り消毒は,大衆が自ら進んでこれを保守する。
    手洗い・拭き取り消毒は絶対であり,揺らぐことは無い──というわけである。