Up ワクチンについて言えることと言えないこと 作成: 2022-03-01
更新: 2022-03-01


    ひとは,ワクチン接種の意味・効用について,自分の思い・考えを発信する。
    また,体に対する危険について,自分の思い・考えを発信する。
    ネットは,このような発信で膨れ返っている。

    膨れ返っているが,論のパターンは発信者の数だけあるわけではない。
    いくつかのタイプに収まることになる。

    先ず,大きい区分として:
    • 肯定論
    • 否定論

    否定論は,ネットではつぎの2つが目立つ:
    1. 「遺伝子組換えの危険がある」論
    2. 「ワクチンに誘導されて細胞が放出するスパイクタンパク質は,毒」論

    これにつぎの3つを加えることにする:
    1. 「ワクチンは効かない」論
    2. 「免疫システムに害がある」論
    3. 「自己免疫疾患者はサイトカインストームの危険がある」論

    さて,否定論a〜eは,それぞれどの程度言えそう・言えなさそうか?
    ここでは,これを押さえてみるとする。


    まず,c, d, e から済ませることにする。
    というのも,これがわたしの立場であり,既にいろいろ論じてきているからである。


    c. 「ワクチンは効かない」論
    ワクチンは,初期株に対応したものである。
    変異株に効かないことは,ワクチン接種を推進している者たちにもわかっている。
    効かないワクチンの接種が推進されているのは,つぎの3つが理由である:
    • 引っ込みがつかない
    • 効かないワクチンを売り切りたい
    • ひとを経済活動に復帰させるためには, 「これでだいじょうぶ!」と思わせねばならない


    d. 「免疫システムに害がある」論
    これは,「ワクチンは効かない」に連なるものである。
    無意味・無用をすることは,それをしないことと同じではない・
    無意味・無用をすることは,余計をやることであり,余計をやることは害になる。

    ワクチン接種された体は,ウイルスに感染したときの免疫反応と同じことをする。
    体はその時々のウイルス株に対応した抗体をつくらねばならないのに,旧式の抗体の生産を強いられる。
    これは,体にとってコストである。
    そして,相手がいないのに免疫反応としていたずらに炎症を起こすことは,体を免疫失調質に導く可能性がある。

    ちなみに,わたしは免疫システムに常在微生物叢を含める立場の者なので,免疫失調の内容として常在微生物叢の毀損を見ている。


    e. 「自己免疫疾患者はサイトカインストームの危険がある」論
    ワクチン接種された体は,ウイルスに感染したときの免疫反応と同じことをする。
    自己免疫疾患者の場合は,免疫反応はサイトカインストームに進む危険がある。
    実際,ワクチン接種で死んでいる者は,これで死んでいるわけである。


    ということで c, d, e はこれで済ませ,a, b に入るとする。

    a, b を後回しにしたのには,理由がもう1つある。
    これを考えられるためにには,ワクチンのしくみをわかっている必要がある,ということである。

    新型コロナワクチンは,「mRNAワクチン」というものである。
    ウイルスのスパイクタンパク質の遺伝子を,mRNA の形に表す。
    これを,ひとの細胞内に送り込む。
    送り込まれた細胞は,mRNA をもとに,ウイルスのスパイクタンパク質を産生する。
    このスパイクタンパク質が細胞の外に出る。

    細胞の外に出てきたスパイクタンパク質を,免疫細胞が外来抗原として認識し,抗原呈示する。
    これが,中和抗体の産生と細胞性免疫応答を誘導する。

    mRNA を細胞の中に送り込むために,mRNA をリポソーム LNP (lipid nanoparticle) のカプセルに入れる。
    リポソーム LNP は,細胞膜と似た脂質二重層構造で,細胞膜と親和性がある。
    mRNA を入れたリポソーム LNP は細胞膜と融合し,これによって mRNA が細胞の中に入る。

    ワクチン液の中身は,mRNAカプセルである。
    これを筋肉注射し,血液に乗せて細胞に届くようにする。

    このデリバリー方法の気持ち悪いところは,無差別なデリバリーだということである。
    細胞を特定して送るというものにはならない。
    自然感染は上皮細胞 (呼吸器や消化器の上皮細胞が主) の感染になるが,ワクチンは細胞無差別なのである。


    a. 「遺伝子組換えの危険がある」論
    この論の「遺伝子組換え」は,ウイルスのスパイク遺伝子がヒトの遺伝子に水平伝播することを言っている。

    ウイルス遺伝子の水平伝播は,自然感染でも考えられることである。
    しかしワクチンの場合,「細胞無差別」というところが引っかかってくる。

    即ち,「mRNA がデリバリーされてウイルス遺伝子の水平伝播が生じる細胞は?」を疑い始めれば,幹細胞,そして生殖幹細胞にまで行くことになる。
    実際,この論の「遺伝子組換えの危険」の意味は,つぎの3通りになる:
    1. 水平伝播が,一般細胞で生じる
    2. 水平伝播が,幹細胞で生じる
    3. 水平伝播が,生殖幹細胞で生じる

    「ガン」を唱えている者がいるが,これは 1 ないし 2 がもたらすかも知れない危険として言っていることになる。
    「子に遺伝」を唱えている者がいるが,これは 3 の場合を言っていることになる。

    この危険論は,確率を考えに入れなければ,真面目な論にはならない。
    実際,ワクチン推進者から荒唐無稽として切り捨てられているわけである。


    b. 「ワクチンに誘導されて細胞が放出するスパイクタンパク質は,毒」論
    この論は,つぎのように唱える:
      細胞内のスパイクタンパク質には,細胞組織を毀損するという性質 (「毒」) がある。
      また,細胞から放出されたスパイクタンパク質が,ウイルスのように体の外に出て,他の者の体に入る。 スパイクタンパク質は細胞のレセプタと結合するので,さらに細胞の中に入る。
      こうして,スパイクタンパク質毒は伝染する。

    この論は,スパイクタンパク質が細胞を毀損する様をイメージできない者には,荒唐無稽な論になる。
    ちなみにわたしは,毀損の様をイメージできないのでこの論を荒唐無稽とする側である。
    ──わたしの場合は,「毀損」を,スパイクタンパク質に対する免疫反応が自己免疫に進行した症状であると推理する。