Up ウィルスの存在論 作成: 2020-04-24
更新: 2020-04-24


    「新型コロナ」COVID-19 は,国際ウイルス分類委員会 (ICTV) がつぎのように分類するウィルスである:
        第4群
          ニドウイルス目
            コロナウイルス科
              コロナウイルス亜科
                ベータコロナウイルス属
                  SCoV (SARS)
                  MCoV (MERS)
                  COVID-19
    インフルエンザウイルスだと,つぎのようになる:
        第5群
          目未帰属
            オルソミクソウイルス科
                A型インフルエンザウイルス属
                B型インフルエンザウイルス属
                C型インフルエンザウイルス属

    この分類は,<型分類>である。
    ここでの「目・科・亜科・属」は,動植物の分類の<種分類>に似せたものである。


    種は,「同種・異種」の「種」である。
    同種は「同種の雌雄は交わって子どもをつくる」の「同種」であり,同種でないことが異種である。

    「性」の概念は,「両性具有」が存在することで,グレーになる。
    両性具有は,植物ではふつうである。
    (ひとの観賞する花のほとんどは, 「両生花」である。)
    動物でも,カタツムリが例になるくらいであるから,両性具有は特別とはならない。
    カタツムリは,二つの個体が雌雄を別々に担当して生殖する。

    「2個体が交わって子どもをつくる」は,ゾウリムシのような存在によって,グレーになる。
    ゾウリムシは,自家増殖がふつうで,たまに別の個体と交わって DNA をミックスする。

    「種」の概念も,「自家増殖」を専らとする種の存在によって,グレーになる。
    実際,「自家増殖」を専らとする種は,個を種に括る意味がなくなる。
    それは「個の外延」と言うべきものだからである。

    生物は,「生殖──自分と同じ種に属する個体をつくる」を以て非生物から区別された。
    この「生物」の概念も,ウィルスの存在によって,グレーになる。
    ウィルスは,生殖を他の生物にやってもらう。
    これも「生殖」なら,工場での自動車の大量生産なんかも「生殖」と言いたくなる。
    ──少なくともコンピュータウィルスの増殖は,この場合の「生殖」である。


    「グレー」は,悩む問題ではない。
    グレーが本当だからである。
    存在は,連続している。
    存在は,グラデーションである。
    ひとがグレーを却けたがるのは,考えが二値論理に染まっているからである。
    考えが二値論理に染まるようにしているものは,言語である。