Up 白色テロ 作成: 2020-04-24
更新: 2020-04-25


      読売新聞, 2020-04-24.
    訪問・文書・電話で休業要請したが …
    応じないパチンコ6店舗、大阪府が全国初の公表
     大阪府は24日、政府の緊急事態宣言を受けて出した休業要請に応じない府内のパチンコ店6店舗の名前を公表した。緊急事態宣言の発令後、休業要請に応じない事業者名の公表は全国で初めて。
     発表によると、6店舗は「丸昌会館」(大阪市)、「だるま屋」(同)、「P. E. KING OF KINGS 大和川店」(堺市)、「HALULU」(同)、「ザ・チャンスα」(同)、「ベガス1700 枚方店」(枚方市)。業界団体によると府内には 2018年時点で 700店以上のパチンコ店がある。府は休業要請をしたにもかかわらず営業を続けていた三十数店舗のパチンコ店などに、文書や電話、訪問などで休業要請を行ってきたが、24日正午までに、この6店舗は応じなかったという。
     改正新型インフルエンザ対策特別措置法45条では、都道府県知事が要請や指示をした際には、事業者名などを公表することを定めている。
     府のコールセンターには、23日までに「休業要請の対象なのに店が開いている」「夜中まで営業している」などの連絡が計 1283 件寄せられているという。


    大阪府のこの措置は,どのような事態をつくろうとするものか。
    いま社会は,「自粛」に従わない者を非国民と定め,これに憤り攻撃するという不穏な空気になっている。
    この措置がつくろうとする事態は,その義憤・攻撃が当該パチンコ店に向けられることである。

    大阪府の政治は,ひどく危なっかしい。
    大阪府がこの度やったことは,ひとの義憤の利用である。
    これは,最も危ないことをやっていることになる。
    義憤は,テロに進むものだからである。
    そしてテロを誘導することは,それ自体テロである。
    大阪府のやっていることは, 「白色テロ」である。


    戦時体制は,非国民に対するテロが,下と上の両方から起こる。
    下からのテロは,国民がする義憤テロである。
    上からのテロは,戦争推進の各種機関がする白色テロである。
    戦時体制は,こうして必ず恐怖体制になる。

    「自粛」体制で病むのは,経済だけでない。
    精神が病むのである。
    その病は,正義病である。

    正義は,不正義を粛清しようとする。
    歴史は,正義のする粛清が決まって(むご)たらしいものになることを教えている。
    正義のテロは,悪の退治であるから,容赦ないのである。


    しかし,ひとの矜恃の形はいろいろである。
    テロは一方的では済まない。
    テロにはテロが返される。
    これが,「内戦」である。

    政治は,《自分に背く者は一人も許さない》をやったら,とんでもないことになる。
    大阪府は,これに進んでいる。

    政治は,「本末転倒」のことばの意味をわかっていれば,まずまずだいじょうぶである。
    大阪府がわかっていないのは,このことばの意味である。
    勉強すべし。