Up 戦時体制 : 要旨 作成: 2020-04-16
更新: 2020-04-16


    首長のうちには,「自粛」を合理化するのに「戦争」のことばを用いる者がいる。
    これは戦争だから,民は上からの指示に従い一丸となるべし」を言いたいわけだ。
    首長とはそもそも,民を率いてみたいと思うタイプの者がなるものであるから,難局に際するとこれを「戦争」と呼びたくなるのである。


    「新型コロナ」で「戦争」とは何か?
    ウィルスはこれを相手として戦うものではない。

    戦争は,敵が幻想の場合がある。
    この戦争は,「非国民」を摘出し殲滅するシステムである。
    敵となるものは,指示に従おうとしない者たちである。
    即ち「非国民」が敵である。

    指示は,「自粛」である。
    ひとは,「欲しがりません勝つまでは」の(てい)で,「自粛」に従わねばならない。
    従わない者は,「非国民」である。


    世の中は,「非国民」の摘出に血道をあげるようになる。
    営業を続けている店舗を見つけたら,これにクレームの電話をかける。
    人通りがまだ多い地域・スポットを見つけたら,これをさらしものにして,ひとがこれに抗議するよう仕向ける。──これは NHKニュースの十八番(おはこ)である。
    クレーマーは,この戦争でますます図に乗る存在になる。

    「隣組」にあたるものも現れる。
    東京都だと, 「特高警察」まがいを組織してくる。


    「新型コロナ」戦争は,終わりのない戦争になる。
    検査でウィルスが見つかるものは,掘り出せば出てくるからである。
    危機メッセージで煽っておけば,不安になり病院に出向く者はつねにいる。
    そして,その中にはある確率でウィルスの検出される者がいる。
    十人単位の数くらいなら,「本日の新たな感染者」はずっと維持できる。
    ウィルスとは無くなるものではなく,共生するものだからである。
    そしてこれがつぎのインフルエンザに連続する。

    そして「感染者増加」の計算を生真面目に発表する「研究者」もいる。
    ひとつの研究論文をつくることになり, 「研究業績」に加えることができるからである。
    そしてこれに,考えの無いマスコミがとびつくというわけである。


    「自粛」には,「これで終わり」がない。
    これの果ては,破滅である。
    経済は基本自転車操業であるから,こぐのを()めれば倒れる道理である。

    敗けた戦争の話を戦後世代が聞いて思うことは,決まっている:
      馬鹿な戦争をやったもんだ
      なんて愚かな者たちだ──ひとはこんなに愚かになれるものか
    しかし,現前がまさに生きた教科書である。
    ひとは簡単に,自滅の戦争に()まるのである。