Up 「電気自動車」の含意 作成: 2022-03-26
更新: 2022-03-26


    「電気自動車」へとハンドルを切った自動車産業は,「エコ」(反-排気ガス・反-CO2排出) を標榜しているが,これは嘘。
    その電気を火力発電でつくるなら,同じことである。
    ──石油が自動車から火力発電所に移動するだけのこと。

    日本の場合,「電気自動車」の理由となるのは,「反-石油依存」である。
    誰も言おうとしないが,電気自動車の電気は,消去法で,原子力発電がつくるということになる。
    ──実際,他に何があるというのか?


    このとき,つぎの疑問が持たれる:
      石油製品は,石油精製の連産品である。
       ガソリンだけを減らすというわけにはいかない。

    「連産品」は,つぎのモデルで考えられている (数値は概測):

    しかし実際は,重質油分解技術というのがあって,連産品の得率をつぎのように変えることができる ( Wikipedia「クラッキング」):

    経産省のエネルギー統計年報の中の数値から推測すると,いまはこれくらいでやっているようである:


    そこで,重質油分解技術を当て込めば,原油使用をいまの70%にしても,ガソリン以外の石油製品の需要に応えられる,という計算になる:

    LPガス,軽油は減るが,「火力発電から原子力発電へのシフト」が立場であれば,問題はない。
    しかも,LPガスは,もともと石油精製でまかなっているのではなく,原油輸入とは別立てで輸入している。──これは,ナフサも同じ。


    しかし,世界情勢はコロコロ変わる。
    日本の「電気自動車」の先行きは,まだまださっぱり読めない。