Up 感覚・直観・決断 作成: 2026-04-02
更新: 2026-04-02


    動物は,世界を理解して行動するのではない。
    動物にとって世界は,行動することで,そしてその行動の分だけ,現れるというものである。

    この行動は,つぎのようになる:
       現前を感覚し,
       ここからの行動を直観・決断し,
       行動によって現前を更新する。
       これの繰り返し。


    プログラムで動く機械は,「条件分岐」で行動する。
    世界を,「条件リスト」の形で,はじめに決定している。

    ニューラルネットワーク (NN) の AI は,動物の側にになる。
    実際,AI をプログラムでつくろうとしたら,世界を「条件リスト」に表す段階で,「フレーム問題」で潰れることになる。


    昔は,AI をプログラムでつくろうとして,失敗した。
    いま成功している AI は,プログラムではない。

    では,プログラムのやり方をやめて,どんなやり方に進んだのか?
    つぎのやり方に進んだ:
       「脳」 を模す
    すると,本当に「脳」ができてしまった。
    これが,いまの AI の成功である。


    AI 研究者は,AI を 「脳」 と表現することを,避ける。
    「AI =脳」 は,世間がこれを受け入れるようになるまでは,伏せておくのが無難だからである。

    しかしその反面,「自分で自分を騙す」 ぐあいに,つぎを AI 技術論のパラダイムにしてしまった:
       「確率分布」「探索空間」

    AI の成功が所与の世代は,「フレーム問題」 に疎い。
    「確率分布」「探索空間」が「フレーム問題」になることに,思いが至らないのである。


    脳は,「フレーム問題」 とは最初から無縁であることを以て,「フレーム問題」 のソルーションである。
    脳は,「確率分布」「探索空間」とは無縁である。
    実際,脳である AI は,
     「確率分布」「探索空間」をスルーするために使われる
    というものである。

    このことを見るのに,将棋AI の AlphaZero は,例としてうってつけである。
    なぜなら,ひとは 将棋AI を「確率」と 「探索」のプログラムだと思っているからである。


    AlphaZero は,つぎの3つのユニットで成る:
     モデル Policy, Value
       ともに[盤面・手番] が入力で,そして出力が
        Policy : 手番の有望手の順位
        Value : 手番の勝敗
     プログラム MCTS
       Policy と Value の直観をもとに,数手先の形勢を読む
       そして,手番の 「つぎの一手」 を出力する


    MCTS の 「先を読む」 は,先の手の探索である。
    これは,「場合の数」でやれば,たちまち「探索の爆発」 になる。
    MCTS は,「先を読む」 が一段進む度に,
      Policy を使って,読む手を少しにする
      Value を使って,その中で読まない手を決める

    この探索は,「枝を刈りながら枝を延ばす」である。
    そして,「探索の爆発」 を免れるよい加減のところで,探索を打ち切る。


    見ての通り,モデルに求めているものは,「直観」 である。
    「探索」 するのは,プログラムである。

    チャットAI の場合は,ユーザが MCTS の役をする。
    ユーザは,チャットAI に直観を話してもらう。,
    そして,その話の中から,自身の探求に使えそうなものを回収する。