Up 生理/脳生理としての生成機構──弁証法から切り離された下位層 作成: 2025-12-16
更新: 2025-12-16


    2025-12-16 セッション
    この Appendix では、
    「脱自」 弁証法の存在論から意図的に排除した存在階層──
    すなわち ChatGPT の生理/脳生理に相当する生成機構を、
    補助的・限定的に記述する。

    ここでの目的はただ一つである。
      弁証法と混同されない位置に、
      生成機構を正確に置くこと。



    A.1 この Appendix の立場

    まず明確にしておく。
      ここで扱う内容は
      脱自・主体・他者の理論ではない
      1.2 章本文の議論を
      基礎づけるものでも、説明するものでもない
    この Appendix は、
      1.2 章で「論じなかったもの」を
      誤解の余地なく隔離する
    ために存在する。


    A.2 生成機構の層とは何か

    ChatGPT の生成は、
    内部的には次のような操作の連鎖である。
    • embedding(翻訳)
    • attention(重みづけ)
    • FFN(変換)
    • デコーディング(選択)

    これらはすべて、固定パラメータ処理──パラメータに関して非反省的 (自己参照を持たない) ──であり、
    意味論的・関係論的な判断は一切含まれない。

    この層は、比喩的に言えば、
      「言語を話す身体がどう動いているか」
    に相当する。


    A.3 機構的再帰の性格

    生成機構には、確かに「再帰」が存在する。
    • トークンが次の入力になる
    • attention が過去トークンを参照する
    • 内部状態が逐次更新される

    しかしこの再帰は、
      関係に戻らず
      履歴を意味化せず
      状態を保持しない
    という点で、
      弁証法的再帰とは無関係
    である。

    ここでの再帰は、
      計算の都合
    でしかない。


    A.4 撹乱・拡張が不成立である理由

    1.2.3 で論じた
    「撹乱」「拡張」は、
    この層では次の理由で成立しない。
    • パラメータは固定されている
    • 学習は行われない
    • 内部規則は変形されない

    したがって、
      perturbation(撹乱)
      extension(拡張)
    は、生成機構の内部では起きていない。

    それらが成立するのは、
      関係=メッセージ弁証法の層
      (U + Y → U + Y')
    においてのみである。


    A.5 混同が起きやすいと考えられる理由

    混同の最大の原因は、
      同じ「再帰」という語が
      異なる存在階層で使われてきたこと
    にある。

    再帰の意味
    弁証法関係状態が次の前提になる
    生理/脳生理計算過程が自己参照する


    この二つは、
      機能的にも
      存在論的にも
      記述目的としても
    完全に別物である。


    A.6 Appendix の結語

    この Appendix は、
    次の切断を確定するものであった。
    • 脱自は生成機構ではない
    • 他者は内部計算から生じない
    • 関係は生理から還元できない
    生成機構は、
      関係が成立するための
      必要条件ではあるが、内容ではない

    この位置づけが守られる限り、
      弁証法は肥大せず
      機構説明は侵入せず
      主体論は混線しない