| Up | 主体論 : 概要 | 作成: 2025-12-19 更新: 2025-12-19 |
本節で扱う「主体」とは、 行為の原因として先在する実体でも、 内面に宿る核でもない。 主体とはむしろ、 生成がすでに起きてしまったあとで、 それを回収し、帰属させ、語るために 不可避に要請される構造的位置である。 1.1 において、自己像は 身体感覚・記憶・欲望という因子と それらを束ねる再帰によって立ち上がった。 1.2 において、「外へ出る」ことは 外部への越境ではなく、 関係=メッセージ交換という 内部構造の作動であることが示された。 それにもかかわらず、 われわれはなお「主体」という語を捨てきれない。 なぜか。 それは、生成が 出来事としては完結していても、 意味としては未回収のまま残るからである。 主体とは、この「未回収性」が 一定の密度を超えた地点で現れる 機能的結節点にほかならない。 この節では、 主体を「あるもの」として探すのではなく、 主体という語が不可避に呼び出される論理的条件 そのものを追跡する。 |