2026-01-07 セッション
「非同一化」という語は,
しばしば,
分裂
崩壊
不安定化
主体の喪失
と結びつけて理解されがちである。
しかし,本節で言う非同一化は,
そのいずれでもない。
非同一化とは,
主体が,自己像を固定せず,
状況に応じて変成させる運用
を指す。
それは「壊れること」ではなく,
変わり続けることである。
主体が状況に応答するためには,
以前の自己像が,
現在の状況に合わなくなる
という局面を,
繰り返し通過する必要がある。
このとき,
自己像を保持し続けることは,
安定ではなく,
むしろ危険になる。
自己像を手放すことが,
行動の再整合を可能にする。
非同一化は,
断絶
空白
無秩序
を意味しない。
それは,
フィードバックを受け取り,
行動を微調整し,
新たな自己像へと移行する
という,
連続した変成の過程である。
この意味で,
非同一化は,
主体が生き延びるための
基本的な運用原理
であり,
主体性の否定ではなく,
その成立条件の一部である。
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