Up 夫婦の力関係 作成: 2019-01-13
更新: 2019-09-24


    ハシボソガラス 01 の観察では,夫婦間で積極的に餌を分け合うという行動様式は見られない。
    即ち,♂は,♀に対し,餌を独り占めしようとする。
    ♀が餌を取ろうとすると,追い払って自分のものにする。
    餌を口の中に入れてしまえば,♂がそれを出すように迫ることはない。
    しかし,嘴にくわえる程度だと,♂がそれを奪おうとすることはある。

    ♀ は,♂ を優先させる姿勢において一貫している。
    これは,♂ を頼る姿勢とつながっている。
    実際,♀ がまったく独りのときは,餌がおかれても取りにこないことがある。
    ♂ が飛んできて餌のところに降りる段になって,自分も降りてくる。
    ♂ がやってこないときは,♂ を呼んでいるかのように鳴くこともある。


    餌に向かうとき,♀ が ♂ の前に出るということはない。
    かくして,餌は ♂ の独り占めになる。
    ♀ は,残り物をさがす格好になる。

    ♀ にも餌がいくようにするには,♂ の独り占めが困難なように餌を置く。
    それは,《餌を置く場所を離れた2箇所にして,それぞれの場所で餌を多数の細片に分けて撒く》である。
    実際,狭い範囲だと,♂がにらみをきかして独り占めすることになる。
    また小片の数が少ないと,カラスは喉袋に食べ物を貯められるので,やはり独り占めになってしまう。

    ハシボソガラス 01 の♂♀のこの関係は,ハシボソガラスの夫婦の力関係というふうに一般化できるかどうかは,わからない。
    即ち,「個性」とか「夫婦のなりそめ」を考える余地がある。