Up 「蟻浴」? 作成: 2023-04-19
更新: 2023-04-19


      NHK, 「カラス」の言い分
    「蟻浴」とはアリの巣の上に覆いかぶさりアリを浴びる行動のことです。
    カラスはカラダがかゆくなると、アリの巣をめがけて飛んできます。
    外敵が来たと思ったアリは身を守るため「蟻酸(ぎさん)」などの化学物質を放出します。
    するとカラスの体についたケジラミなどの寄生虫は蟻酸を嫌がり退散してしまいます。
    カラスはアリを利用してカラダをきれいに保っているのです。


    カラスの行動パターンのひとつに,<羽根をひろげて地べたに腹ばいになる>というのがある。
    ハシボソガラス 01 をこれまで観察してきた限りでは,この行動は日差しの強いときに限る (曇天では見ない)。

    ハシボソガラス 01 とアリとの関係でこれまで観察したことは,<アリを食べることがある> である。
    アリの巣に覆いかぶさるというのは,観察していない。


    動物研究者は,動物のすることに意味をつける。
    しかし,それは推理である。
    本当のところはわからない。

    実際,「ケジラミなどの寄生虫は蟻酸を嫌がり退散」は観察できない。
    小さいからである。
    カラスをとらえて「ケジラミなどの寄生虫の退散」を観察することはできない。
    「蟻酸の放出」も,調べられない。

    プランターや養蜂箱にダニ類を寄せ付けないための薬物として,蟻酸の効用が言われることがある。
    「蟻浴」の推理も,こんなところから来る。


    ただし,ケジラミのような動物に棲む寄生虫の場合,「退散」するところは無い。
    動物に棲む寄生虫は,その動物を居場所としており,そこを離れたら生きていけない。
    動物に棲む寄生虫は,動物の上で卵を生み繁殖している。

    「蟻浴」に意味があるとすれば,対象となるダニ類は,土壌や植物の茎・葉に済むダニ類である。
    なぜか
    蟻酸を忌避するダニ類は,アリを天敵とするダニ類である。
    蟻酸はアリの存在のしるしになるからである。
    そして,アリを天敵とするダニ類は,アリと遭遇するタイプのダニ類であり,それは土壌や植物の茎・葉に済むダニ類ということになるわけである。