Up 貯食場所の記憶 作成: 2018-08-20
更新: 2020-01-21


    貯食場所は,ちゃんと覚えている。

    人であれば少し目を離したらどこだったかわからなくなる草むらでも,隠した場所にきっちりやって来る。
    そして草むらに隠すときも,ただ置くのではない。
    まわりの草をちぎって,隠した餌の上にかぶせる。

    こんなことをして,隠した場所が自分でもわからなくならないのか?
    草をかぶせるとき,目印をつくるといった工夫をしているようには見えない。
    かぶせた形をそのまま記憶?
    しかし,その形は,見る向きや光の当たり方によって表情を変える。
    形にしても,風に吹かれたりして変わり得る。
    ということは,「絶対位置感」で場所を憶えている?


    こう思えてくるのは,雪の中にも貯食するからだ。
    そしてこのときは,まわりの雪をとって隠した場所のうえにかける。

    ♂が雪の中に隠した餌を後から♀が取りだすのも,観察された。
    ♂の貯食しているところを♀が(はた)から見ていたことになるが,傍観の(てい)でも雪面の一点を同定できるというわけである。

    足跡を目印にしている可能性も考えねばならないが,足跡はあちこちについているし,その足跡もそのままに残るわけではない。

     註: 「雪の中」といえば,エゾリスの貯食が連想される。
    秋にドングリを隠した場所を覚えていて,雪を掘り返して取り出す,というものである。
    まさか!」「ありそうな場所をさがしたら見つかった,ということだろうよ」などと疑ってしまうが,ハシボソガラスの「雪の中に貯食」を見れば,本当のことだと受け入れるのが正しいようである。

      認知マップ (「どこになにがある」)


    2020-01-17
    ♂が貯食した場所を見届けて,餌が回収される前にその場所を撮影。
    ──画像下辺にあるのは,30cm 定規。
    画像上部の中央から左の雪面の乱れたあたりと思われるが,はっきりしない。
    しかしボソ01 は,あちこち迷うことなくピンポイントで餌を取り出す。