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松原始 (2015), p.379
ハシブトガラスは隠れた餌を探そうとはしない。
彼らの餌は、上から探せるようなものだけだ。
だからこそ、樹上から下を見ていて、餌を見つけた時だけ餌の横に降りて、食べたらさっさと飛ぶ、という行動を繰り返す。
それゆえに、草をかき分けたり石をめくったりするまで餌が見えないような場所、つまり草原や農地や河川敷は、ハシブトガラスが魅力を感じない場所なのである。
ハシボソガラスは逆だ。
彼らはもちろん、ゴミを見つけて降りて来ることもできるが、「とりあえず降りてみて、疑わしいと思ったらいつまでも執拗に餌を探り続ける」という行動も得意だ。
それ故に2種の好む環境は違っており、やや異なる場所に縄張りを構えて暮らしている。
河川敷と森林と住宅地が入り混じる地方都市は、どちらのカラスにとっても住む場所がある、2種の共存を許す場所なのだ。
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引用文献
- 松原 始 (2015) : カラスの補習授業』, 雷鳥社, 2015
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