Up カラスはおしゃべり」? 作成: 2023-04-21
更新: 2023-04-21


    カラスの鳴き声をことばと定め,そのことばの意味を調べている研究者がいる。
    曰わく,「カラスはこれほど多くのことばを使い分ける」。
    これが昂じると,「カラスの就塒前集合では,情報交換がされている」になる。

    ひとは,声と意味の1対1対応を考える。
    これがそもそもの間違い。

    声は,どんな状況でこの声が発せられたかで,意味がつく。
    こうして,一つの声も,色々な意味に使えることになる。
    カラスはこれほど多くのことばを使い分ける」ではない。
    状況に照らして,その声の意味を察する」である。
    声と意味の関係は,1対多である。

     例 : 「ワー」という声がふつう起こるはずのない状況で,「ワー」という声が起こった。
    この場合,ひともカラスも同じ行動になる。
    即ち,パニックになって逃げようとする。
    しかし学者というものは,この「ワー」には「逃げろ」の意味がある,と考えるのである。


    カラスがする<声でコミュニケーション>は,<しゃべる>ではない。
    <声でコミュニケーション>は,会話とイコールではない。
    そしてカラスは,会話はしない。

    ひとは,人と一緒になると,おしゃべりをする。
    これは,<間が持たない>を苦痛とするからである。
    間を持たせるためにしゃべる。
    カラスには,<間を持たせる>という概念・文化がない。
    よって,カラスに会話は無い。


    人はコミュニケーションを声に頼る。
    カラスはそうではない。
    体 (パフォーマンス) を使う。
    コミュニケーションといっても単純な意思表示であり,そして「○○せよ」を伝えることばも無いのだから,パフォーマンスによる意思表示がよいのである。

    カラスは,本来,寡黙である。
    鳴く意味が無ければ,鳴かない。


    ところで,人とカラスはコミュニケーションを構築できる関係にある。
    カラスは,人とのコミュニケーションになるパフォーマンスを,自ら開発するからである。
    この点で,スズメなどとは大きく違う。