Up | 過生産 | 作成: 2024-03-23 更新: 2024-03-23 |
生産量の<3倍以上>は,単収の<3倍近く>で実現している。 ひとは,60年間で単収が3倍になっていることを聞くと,生産技術の「改良」の賜と受け取る。 ひとにとって,増えることは良いことだからである。 何か増えることは,かわりに何かが減っていることである。 ひとは,このトレードオフに考えが及ばない。 単収が増えているのは,つぎの2つのことをやっているからである: 土壌の酷使は,土壌劣化,そして不毛化 (サバク化) へと進む。 「60年間で単収が3倍」は,土壌劣化との引き換えなのである。 そして,既にサバク化と引き換えている所もある。 では,作物の人工化の方は,どこへ進むのか? 作物の人工化が向かう先は,化学肥料だけで育つ作物である。 そして化学肥料だけで育つ作物の先に展望されてくるのが,土壌無しの水栽培である。 農業が企業化できないのは,土壌が扱いに面倒だからである。 水で済めば,農業は企業化できる。 作物の人工化とその生育環境の人口化の問題は,「それは果たして食糧なのか?」である。 ひとは口に入るものは食糧だと思う。 しかし,食糧かどうかは,体がこれをどう受けつけるかという問題なのである。 人工化を突き進む作物栽培は,腸内微生物が欲しているものを欠いている可能性がある。 そのときは,腸内生態系が壊れ,体はアレルギー症状を多発するようになる。 そしてひとは,そのアレルギー症状が何であるのかわからない。
しかしひとにとってアレルギー症状は,薬で治すものである。 ひとは,土を粗末にする。 土を粗末にするのは,そもそも土が嫌いだからである。 土が嫌いなのは,蟲がうようよしているところだからである。 実際,ひとは全般に,蟲がうようよしていることが嫌いである。 除虫剤・除菌剤を使って,蟲をゼロにしようとする。 ひとは,自分ではそう思っていないが,サバクを求めている。 食べ物にも,サバクを求めている。 サバク化は,ひとの無知が導いているというより,ひとの嗜好が導いていると考えた方が,当たっているのかも──である。 |