Up 「地球温暖化」にしとけば,救われる 作成: 2023-11-29
更新: 2023-11-29


    ひとは「地球温暖化」のことばが好きである。
    このことばで思考停止できるからである。
    自分由来の災厄を,「地球温暖化」のせいにできるからである。

    かくして,河川氾濫が「地球温暖化」のせいになり,山火事が「地球温暖化」のせいになり,不漁が「地球温暖化」のせいになり,‥‥‥ という具合になる。
    何でもありなのである。

    これの究極は,暑さを「地球温暖化」のせいにするというもの。
    暑さは,南から大気が流れ込む気圧配置による。
    猛暑日が続くとは,この気圧配置が続いているということである。 気圧配置が変わって北から大気が流れ込むと,気温が低くなる。
    しかし,暑さを「地球温暖化」のせいにする者たちは,これを都合よく棚上げにすることができる。

    何かと「地球温暖化」のせいにし,「地球温暖化」と合わない事実は棚上げにする者たちは,なぜそれができてしまうのか?
    「知的正直さ」を身につける修練をして来なかったからである。
    その修練の場は科学だが,人の多くは科学を敬遠して生きてきている。


    サバクは,不毛の地である。
    不毛の地になったのは,乱獲があったからである。
    乱獲は,そこを不毛の地にする。

    「サバク」は陸地に限らない。
    漁師は,不漁を「地球温暖化」のせいにすることを覚えた。
    しかしその不漁は,乱獲してきたからである。
    乱獲が漁場をサバク化したのである。


    福島原発の放射能汚染水海洋放出で,中国が日本の海産物の輸入を停止した。
    政府はこれに抗議し,輸出の再開を迫る。
    しかし,中国に輸出するとは,乱獲するということなのである。
    なぜ?
    中国の消費ポテンシャルは莫大である。
    いくら獲っても売れる。
    そしてひとは,売れれば売れるだけ獲るものなのである。

    漁業は,ずっとこうである。
    不漁になるのが,あたりまえなのである。
    しかし今日は,不漁は「乱獲」のせいにされない。
    「地球温暖化」のせいにされる。
    メデタシメデタシである。


    ヨーロッパは,農地化・都市化の森林伐採,農業による土地劣化,過放牧,等々がたたって,サバク化が進行している。
    地中海の対岸は,サバクの地。
    ヨーロッパは,従来の気候傾向で十分サバク化するところなのである。

    しかし今日は,サバク化は「地球温暖化」のせいにされる。
    「乱獲」のせいにされない。
    これまた,メデタシメデタシである。