Up サバク化は商品経済の含意 作成: 2024-04-10
更新: 2024-04-10


    生物の営みは,ふつう,どこかに均衡点を得て安定する。
    人間の営みは,こうはならない。
    人間の営みは,生物の営みから外れているからである。

    生物の営みの中心は,<食い物を得て食う>である。
    これは,人間以外は,<食い物は獲って食うものなので,食い物を獲る>。
    人間は,<食い物は金で買うものなので,金を得られる仕事をする>。

    <金を得られる仕事をする>は,<どこかに均衡点を得て安定する>が無い。
    その仕事は,仕事が成り立たなくなるところまで突き進み,そこではじめて止む。
    そして止んだとき,周りは<サバク>になっている。


    例えば,商人は,豊かな国で消費される食品の原料にする植物を,貧しい国に生産させる。
    その貧しい国でふうつの農業をするよりも有利な給金をもちかけて,生産させるわけである。
    豊かな国の国民は,これを「グローバリズム」とか「ウィン・ウィンの関係」と教えられている。
    しかしその貧しい国は,日常の食べ物に不足するようになる。
    また,商品作物の生産は過生産に進むものなので,土地もダメになっていく。
    その国はサバク化する。

    例えば,商人は,豊かな国で消費されるレアメタルを,貧しい国に生産させる。
    豊かな国でやれば環境汚染・環境破壊が問題になってしまうことが,貧しい国では堂々とやれる。
    豊かな国の国民は,これを「グローバリズム」とか「ウィン・ウィンの関係」と教えられている。
    こうして,貧しい国は国土を荒廃させていく。
    またその国が「民族紛争」でゴタゴタしている国だと,利権争いで内戦を押っ始めることになるかも知れない。

    例えば,貧しい国の者は,豊かな国に移民として入る。
    そこで,豊かな国の国民が就きたくない仕事に就いて,生業を立てる。
    彼らのうちから,能力によって地位を向上させる者が,続出する。
    こうしてその国の国民の職を奪うようになる。
    「移民ヘイト」が起こり,その国は「移民/人種問題」で殺伐とした国になる。


    いま先進諸国は,資源獲得に躍起になっている。
    欧米・日本といった利権既得国は,中露のアフリカ等侵出に懼れを抱き,後進諸国を手なずけようと躍起になっている。
    その「資源」は,何に使うのか。
    商品生産に使うのである。
    人間の<生きる>は,<商品経済の螺旋にとらわれて生きる>なのである。

    人間の<生きる>は,この他ではあり得ない。
    この他ではあり得ないから,人間は資源獲得をめぐって戦争をし,国・個が豊かと貧しいに分かれる。
    そしてこれに伴い,様々な領域で・様々な意味でサバク化が進行する。

    こういうわけで,サバク化は是非の話ではない。
    「是非も無し」という話である。


    商品経済は人間の最高の発明であり,人間はこれと心中する。
    サバク化は,人間の進化の形である。
    人間は,サバク化を所与としてこれに適応していくことになる。
    人の系もまた,サバク化する物のうちというわけである。