Up ()漠 (erg) : 保水 作成: 2024-06-27
更新: 2024-06-27


    ひとは,砂地の表面を見て,その様が下まで続いていると思う。
    特に,表面の乾燥が下まで続いていると思う。

    事実は,砂地は少し掘れば水で湿っている。
    砂地は,粒子の間隙がしっかり毛管孔隙として機能し,保水する。


    サハラ砂漠 (サハラの()漠 erg) には植物が生えない?
    なぜ?

    生えるためには,土中の水のあるところまで,地下茎ないし根を伸ばさねばならない。
    サハラ砂漠の場合,それはかなりの長さになる。
    また,地面から出た部分は,日中の灼熱の太陽と,夜間の寒冷の両方に耐えねばならない。
    この2つの条件を満たすことは,ひじょうに困難である。
    これが,サハラ砂漠に植物が生えない理由である。


    日本の畑作は,耕起した土地に作物を育てる。
    耕起は,腐植層を無くして,土地を()漠状態にすることである,
    実際,畑の表面は乾燥している。

      日本にも,砂漠の飛砂はある。
      北海道の広大な畑でそれは起こる。
      その広大な畑は,カラマツ林で囲まれているが,そのカラマツ林は飛砂防止のためである。

    砂漠で畑作はできない。
    1日の寒暑が極端なことを差し引いても,地中の水では作物にまったく足らないからである。
    日本の畑作は,砂漠栽培であるが,成立している。
    それは,作物が降雨や灌漑水から必要な水を得ているからである。

    翻って,降雨や灌漑水が無くなれば,作物は水が摂れなくて枯れてしまう。
    実際,雨頼みだった時代は,干魃は常襲的なものであった。


    日本の自然な土壌は,草本が密生する。
    それは土壌が,表面のすぐ下から湿潤だからである。
    この湿潤は,表面の腐植層のおかげである。

    では,なぜ日本の畑作は,わざわざ腐植層を壊して,砂漠栽培にしてしまうのか?
    自然な土壌では,その生態系に作物が負けてしまうからである。

    畑作は商品作物生産であり,そして商品作物生産はマスプロダクションでなければ成立しない。
    そして,作物のマスプロダクションは,降雨・灌漑水で水を賄う砂漠栽培を方法とせねばならない,というわけである。