Up | 草食動物とサバク化の関係 | 作成: 2024-03-25 更新: 2024-03-25 |
同様のことが,アフリカの野生動物保護地で進行している。 そこでは,ゾウ・キリンが劇的に減少している。 環境保護団体は「密猟」のせいにしようとするが,そうではない。 サバク化し,餌とする草木が劇的に減少しているのである。 環境保護団体はゾウ・キリンを保護して数を増やそうとするが,餌の草木が無くなっているのだからどうしようもない。 保護によって数が増えたゾウ・キリンは,北海道のエゾシカと同じようになる。 即ち,人の里に現れて作物を荒らすようになる。 そうすると,「増え過ぎた!」となり,農業者から「駆除」の声が上がるようになるのである。 アフリカの野生動物保護地の草木減少・サバク化は,大型草食動物がこれの原因である。 その大型草食動物には,事実上天敵がいない。 天敵がいないので,草木を食い尽くせるまでの数に増えてしまう。 彼らの数を制御するものは,草木の量だけである。 ひとは,「大型草食動物にはしっかり天敵が存在している──それはライオン等の大型肉食動物だ」と思っている。 これは間違い。 生物は進化する。 肉食動物に狙われる草食動物は,肉食動物にやられない能力を進化させる。 即ち,逃げ足を速くする,大型化する,群れをつくる。 ヌーなんかは,この進化の先頭を行っている観がある。 肉食動物はこれに対応していかねばならない。 しかしこれは難しい。 <俊敏にして高速>と<大型>は,矛盾するものだからである。 「天敵」の語には,「餌とする生き物の数を抑制する」の意味が込められている。 大型肉食動物に,大型草食動物の数を抑制する力は無い。 よって,「大型肉食動物は大型草食動物の天敵とはならない」「大型草食動物には事実上天敵がいない」となるのである。 「 幼木が地上に現れるや,大型草食動物に食われてしまう。 「 野生動物保護地の乾燥地に雨が降る。 すると,草が一気に芽吹き・伸びる。 ひとにお馴染みの映像である。 この映像から,ひとはつぎのように思うことになる:
しかし繁殖が「交配・結実・種子散布」の意味なら,いくらすばやくても,ここに繁殖の暇は無い。 数が増えた大型草食動物は,<生えている草を食べる>ではなく,<草が生えるのを期し,生えてきたのを食べる>の構えで,草を食うものになっているからである。 大型草食動物は,雨を追って移動している。 特に,「虫に花粉を運ばれて交配」は,ここには無い。 花の蜜を栄養にする虫は,生きられないからである。 野生動物保護地の虫は,より小さな生き物や大型生物の死骸を食って生きる虫である。 この地の草本の繁殖は,「栄養繁殖」──根・茎・葉などの栄養器官で繁殖する無性生殖──に限られてくる。 これでは棲息域が拡がらない。 そして,飢えた大型草食動物は,根を掘り起こすこともやる。 こうして草本は,減る一方となる。 サバク化の仕上げをするものは,雨である。 土が曝露した大地に降る雨は,土を流す。 そこは,水食の溝を残した不毛の地になる。 雨がさらに不毛の地に降る。 地中に浸み入った水は地中の塩類を溶かすが,この塩類がつぎは地表からの水の蒸発によって,地表へと移動する。 こうしてそこは,塩サバクになる。 これが,サバクの完成形ということになる。
サバクは,風化によって砂を産出する。 砂は,風に吹かれて吹きだまりをつくる。 吹きだまりは,《吹きだまりのサイズ大きいほど,新たに吸着する粒子が多い》の<正のフィードバック>メカニズムによって,成長する。 こうしてサバクは, 「砂漠」になっていく。 環境保護団体は,野生動物保護地のサバク化も,ひとのせいにしようとする。 環境保護団体は,「ひとが自然を破壊する」のイデオロギーに捉えられているので,野生動物保護地のサバク化をひとのせいにせねばならないのである。 イデオロギーは窮屈である。 窮屈は自業自得だが,この窮屈は事実捏造をやってしまう。 そこがイデオロギーの困ったところである。 |