Up サバク学 事始め 作成: 2023-12-17
更新: 2023-12-17


    いま,「砂漠化」が,世界のあちこちで目立っている。

    ひとは「砂漠化」を気象学の主題だと思っている。
    そこで,「この砂漠化は二酸化炭素排出による地球温暖化が理由」と説かれると,そうだと思う。

    「砂漠化」は,二酸化炭素排出とは関係ない。
    二酸化炭素排出規制は,「砂漠化」に何の効果も無い。
    そもそも「砂漠化」は気象の話ではないからである。

    しかしひとは,いま「地球温暖化」にすっかり嵌まっている。
    嵌まる理由は,救われるからである。
    どうして?
    沙漠化は二酸化炭素排出が理由」をひっくり返せば,「二酸化炭素排出を抑えれば沙漠化は止まる」になるからである。
    「地球温暖化」はイデオロギーであるが,イデオロギーは宗教なのである。


    「砂漠化」とは,土壌生態系が壊れていくことである。
    土壌生態系は,土とイコールである。
    「砂漠化」は,土が無くなることである。
    「砂漠化」は,気象の話ではなく,「何者のどんな行為が,土を無くしているか」の話である。

    「砂漠」のことばも,ミスリーディングである。
    土の無くなったあとが砂であろうと,礫であろうと,岩盤むき出しであろうと,それは「砂漠」なのである。

    「沙漠」のことばもあるが,これは「水が少ない」と読める。
    しかし,土の無くなったあとは,水が多かろうと「沙漠」である。

    もし「土」偏に「少」の漢字があって音が「サ」ならば,それを使いたいところである。
    しかし,そんな漢字は無い。
    というわけで,本テクストは「サバク」を用いることにする。


    本テクストは,サバク学を気象学から取り戻して,生態学の中に据え直す。
    しかしなぜサバク学なのか?
    「サバク化」に,ヒト──さらに地上生物──の終焉の形を見るからである。


    生命は 40億年くらい前に海に誕生したとされている。
    そして,地上に進出するのは,植物の場合ということでは,4億2千万年前。
    微生物なら,これよりずっと前,と考えることになる。

    生じたものは滅びる。
    地上生物も滅びる。
    さて,それはどんなふうに?
    「盛者必滅」のように滅びる。
    「盛者必滅」のメカニズムは,自滅である。

    恐竜時代の終わりを,科学者は「巨大隕石の衝突」で理解しようとする。
    繁栄しているものの終わりは大災害でなければならない」が,彼らの思考回路だからである。
    しかし,繁栄しているものの終わりは,自滅と決まっている。
    スパイラルメカニズムに嵌まって伸長の一途になったものは,あとは倒れるばかりなのである。

    地上生物は,土壌生態系が拠点になる。
    そんな地上生物の中から,土壌生態系の破壊を自分の繁栄の形にする種が現れる。
    その種は繁栄し,かつ加速的に繁栄する。
    そしてこれは,土壌生態系が加速的に失われるということ。
    土壌生態系がつぎつぎと無くなり,地上生物すべてが終わる。


    この「地上生物の終焉」を,どうやらいま目撃しているようなのである。
    まだ先は長いにしても,形は見えている。
    見えるようになったのは,土壌生態系崩壊のスピードが上がってきたためである。
    昔ならコマ送りが遅くて見えなかった形が,いまはコマ送りが何倍速にも速くなり,見えるようになった。

    コマ送りを加速しているものは何か?
    テクノロジーである。