Up 地下水の蕩尽 作成: 2023-12-03
更新: 2023-12-03


アメリカ西部の円形耕作地:
Google Map から引用:



円形なのは,一端を固定したスプリンクラーを回転させることによる:
USGS : Center pivot irrigation system in Arizona, USA から引用:



    アメリカ西部の乾燥地帯では,耕作地を上のようにつくる。
    水は,地下から汲み上げる。
    乾燥地帯なのだが,西のロッキー山脈の雪解け水が,長い時間をかけてこの一帯の地下水をつくっている。

    その地下水は,無尽ではない。
    取水井戸は,水が取れなくなったら,さらに深くする。
    この場合,500m くらいが限度になる。

    そうなったら,その耕地は放棄することになる。
    そして,別の耕地の開拓に向かうというわけである。


    乾燥気候の日照は,裸の耕作放棄地を乾燥させる。
    そこは植物の生えないところになる。
    こうして,そこ一帯はサバク化する。
    アメリカ西部で農業をするとは,乾燥裸地のサバクをつぎつぎとつくっていくことなのである。


    サバクは,たまたま雨が降っても,恵みの雨とはならない。
    地中に浸み入った水は,蒸発する。
    このとき,地中の塩類を上方に吸い上げる。
    そこは塩類が濃くなっていく。
    そしてこうなると,水を引いてきても植物は育たない。
    なぜか。

    植物が水を吸うのは,細胞液が細胞の外の水より濃い (溶質濃度が高い) ためである。
    水は溶質濃度の低い方から高い方へ移動する。
    この物理のため,濃い塩水に曝された植物は,細胞の内から外に水が移動する。
    こうして死んでしまうのである。

    カリフォルニア州デスバレーの塩平原は,このタイプのサバク化の極みを示している。
THE DISCOVERIES OF : The Death Valley Salt Flats から引用: