Up サバク化のスパイラルメカニズム 作成: 2023-11-29
更新: 2023-11-29


    「サバク」とは,不毛の地のことである。
    ひとの「サバク」のイメージは「砂」と「雨が降らない」であるが,サバクは砂でなくてもよい。
    雨量が多くてもよい。

    不毛の地とは,どんな地か?
    土の無い地である。
    サバクとは,土の無い地のことである。
    砂でなくても,土の無い地はある。
    雨量が多くても,土の無い地はある。
    それらは「サバク」である。

    土は,岩が砕けたものではない。
    岩が砕けただけなら,サバクである。
    土は生物がつくるものである。
    そして植物は,土で生きられる。
    植物は,土のないところ──即ち,サバク──では生きられない

    サバクでないことは,あたりまえのことではない。
    サバクでないことは,絶妙なバランスの上に実現している。
    このバランスが一旦壊れると,そこはサバク化する。


    サバク化は,「拡がる一方」のメカニズムで進行する。 
    一般に,「一方的」のメカニズムは,「正のフィードバック」(「スパイラル」) である。
    「正のフィードバック」とは,「Aが大きくなればBが大きくなり,Bが大きくなればAが大きくなる」の関係であり,このときA, Bは延々と大きくなる。


    A. 砂のサバクの拡大スパイラル
    先ず,外から湿った大気が絶えず流れてくるところは,サバクにならない。
    大気の水蒸気がもっぱら地表の水の気化で賄われているところが,サバクになり得る。
    以下,この場合。
    1. 地表が乾燥しているとは,地表の水が僅かであること。
      地表の水が僅かであることは,地表からの水の気化が僅かであること。
      地表からの水の気化が僅かであることは,大気に含まれる水蒸気が僅かであること。
      水蒸気が僅かの大気は,冷やされても僅かの水しか出てこない──即ち,雲ができても僅か。
      よって,その地には雨が降らない。
      雨が降らないとは,地表の水が無くなる一方だということ。
      以上により,乾燥がスパイラルに進行する。
    2. サバクの砂は,風で拡がる。
      これは,サバクが大きいほど拡がる。
      周囲が長いからである。
      砂が拡がることは不毛が拡がることである。
      サバクの砂は,不毛なのである (植物の養分となる有機物が無い)。
      砂が土を覆うと,そこは不毛になる。
      植物生態系には,貯水池の機能がある。
      よって不毛になることは,そこが乾燥スパイラルに入っていくということである。
      そして,植物が無くなって砂はさらに動きやすくなる。
      以上により,サバク拡大はスパイラルに進行する。

    サハラサバクに代表されるアフリカ北部のサバクや,アラビア半島のサバクは,このようなプロセスで今がある。


    B. 砂でないサバクの拡大スパイラル
    雨で土が流出すると,植物が生えなくなる。
    植物が無くなると,それは土を留めるものが無くなるということなので,土は雨で流出しやすくなる。
    このように,雨による土流出と植物生態系の細りは,正のフィードバックループをつくる。
    これは,サバク拡大はスパイラルに進行するということである。