Up サバクに土は戻らない 作成: 2024-03-15
更新: 2024-03-15


    サバク化は,土が無くなることである。
    植物は土に育つから,サバク化するとは不毛になることである。

    一旦サバク化すると,そこに土は戻らない。
    不毛のままになる。
    即ち,サバクに土が戻る前に,人類は消滅している。
    サバクに土が戻るのには,長い時間を要するのである。

    どうして長い時間がかかる?

    土は,土壌生物の生態系である。
    土が戻ってくるとは,この生態系が戻ってくるということである。
    その生態系はどこから来るか?
    サバクの周縁の土壌生態系から来ることになる。
    サバクに土が戻るとは,サバクの周縁の土壌生態系がサバクの方に拡がり,そしてサバクを覆い尽くすに至るということである。
    そしてこうなるには,ひじょうに長い時間がかかる。


    この時間のイメージを持とう。

    土壌生態系は様々な要素で成っているが,センチュウとダニを考えてみる。
    これは,平均して1mm に満たない大きさである。
    土壌の拡大には,このセンチュウ・ダニの移動が含まれる。

    センチュウ・ダニは,サバクを目指して移動するわけではない。
    ランダムに動いているうちに外へと移動しているということである。
    この移動は,年間どのくらいか?
    センチュウ・ダニの餌や生活環境がいっしょに移動してくれないとダメだから,年間1m はとても無理である。
    大サービスして 10cm としよう。
    そうすると,サバクの 1 km 幅に土が戻るのに,1万年かかる。
    10 km 幅だと,10万年である

    もっとも,’雨によって土がサバクの方に流されることで,ずっと短期間に土が回復する可能性はある。
    しかし雨は,サバクに残った土を洗い流してしまうものでもある。
    サバクに流されたセンチュウ・ダニがそこで生き延びかつ外へと拡がっていく確率は,低いと見積もることになる。