Up 都心地下を潰滅させる津波は, 高い必要はない 作成: 2023-11-03
更新: 2023-11-03


      東京都防災会議「首都直下地震等による東京の被害想定 報告書」(2022), p.3-13.
    都心南部直下地震で発生する津波高は、都内の河川及び海岸の堤防を越える高さとはならない想定である。
    大正関東地震及び南海トラフ巨大地震で発生する津波高は、区部で最大約2.6mとなる想定であり、河川敷は浸水するが、住宅地等は浸水しない想定である。

    専門家・行政は,「東京湾の津波は低いから,浸水は無い」と教える。


    津波は,岸に近づくにつれ高さを増し,防潮堤の前ではさらに高くなり,そして防潮堤を越える。
    この泥水の流れは,通りを走り,ビル街の地下に落ちながら,坂を上る。

    都心は,標高が海面すれすれの高さなのに,インフラや大事なものを地下に集約させている。
    これらは,津波で埋まってしまう。
    都心はこれで潰滅である。


    都心を潰滅させる津波は, 大きい必要はない。
    1m の高さの泥水が都心を流れれば,都心は潰滅である。
    そして,1m の高さの泥水を都心に流すことになる津波の高さは,理屈では1m でも十分。
    問題は,高さではなく流量 (流速と断面積の積) だからである。

      「津波高」は,高さを増す前の高さを謂う。
      津波は,岸に近づくにつれ高さを増し,防潮堤の前ではさらに高くなり,そして防潮堤を越える。
      防潮堤を越えてから以降は,なめらかな安定した流れになる。
      これは,流れる水の下に水の台ができた格好である:
・「台」と言っても,静止しているわけではなく,動的定常の相である。
・水の台の上の流水は,層の厚さが「厚さ × 流速 = 一定」の関係に順う。
      かくして, 「1m の高さの泥水を都心に流すことになる津波の高さは,1m でも十分」となるわけである。


    しかし専門家・行政は,津波を高潮にすり替える論法を使って, 《防潮堤を越え,通りを走り,ビル街の地下に落ちながら,坂を上る》を「想定外」にする。
    ひとは彼らを信用する。
    国立国会図書館なんかは地下30m の深さの大書庫を構えているが,地上の「標高20m」に安心しきっているわけである。

    専門家・行政は,津波を机上や模型で考えるばかりなので,ああなのである。
    河原で堰遊びをしたことのある者なら,津波が防潮堤を越えないわけがないことを知っている。
    まだ河原で堰遊びをしたことのない者は,やってみるべし。