Up 「都心地下は泥水で埋まる」は, 口にできない 作成: 2023-11-12
更新: 2023-11-12

    ひとは，《一生懸命な人を腐すようなことは，言ってはならない》をルールにしている。

    例えばひとは戦争に自ら進んで巻き込まれるが，それはこのルールに自らを縛っているためである。
    「兵士は一生懸命である。彼らのことで，不謹慎なことを言ってはならない。」
    これは，軍のやることを何でも受け入れることになる。


    都心の地下開発に一生懸命な人たちがいる。
    防潮堤嵩上げに一生懸命な人たとがいる。
    「一生懸命な彼らのことで，不謹慎なことを言ってはならない。」
    これは，彼らのやることを何でも受け入れることになる。

    津波は防潮堤を越え，都心地下を泥水で埋める。
    しかし防潮堤嵩上げと都心地下開発に一生懸命な人たちがいるのであるから，「津波は防潮堤を越え，都心地下を泥水で埋める」は口にすることではない。

    そして，口にしないだけでは足りない。
    防潮堤嵩上げ・都心地下開発と両立しない「津波は防潮堤を越え，都心地下を泥水で埋める」の方を，曲げねばならない。
    どんなふうに？
    「津波より防潮堤の方が高いから，津波は心配ない」ということにする。


    ひとは戦争に自ら進んで巻き込まれる。
    この流れは不可逆である。
    一旦流れたら，最期まで行くしかない。

    防潮堤嵩上げ・都心地下開発は，最期まで行くのみである。
    そしてロジックでは，「津波が防潮堤を越え，都心地下を泥水で埋める」がその最期ということになる。
    津波は堰き止められるものではなく，そして都心の地下は河口河原の地下だからである。