Up | 「津波の浸水は想定していない」 | 作成: 2023-11-01 更新: 2023-11-11 |
ここで「(東京湾) T.P.+0.966m」は,東京都『首都直下地震等による東京の被害想定』(2022) の p.2-49 にある。
ここで「南海トラフ巨大地震による最大津波高 A.P.+3.76m」は,『被害想定』の p.2-57 の「江東区 2.63m」を指している。
このように,地震対策を負わされた行政機関は, 「東京都防災会議」に責任溯行が向かうようにする。 そして「東京都防災会議」は,この場合,地震部会専門委員=地震学者を指す。 ひとは,「津波は河川や海岸の堤防を越える高さにはならない」を聞いて安心する。 ひとは,専門家や行政が言ってくることを信じるのである。 地震・津波は,わからないのである。 地震学者は,《これまでのパターンがこの先も繰り返される》を用いて,推計する。 計算は,《これまでのパターンがこの先も繰り返される》から逸脱しないように調節される。 推計は,予定調和なのである。 また,「津波より防潮堤の方が高い」の言い回しは,ひとに津波を高潮と同じものに思わせることになる。 高潮は,海面が上空の強い低気圧 (特に台風) で持ち上がる現象である。 持ち上がりが保たれるので,上下動の波はできない。 防潮堤にぶつかる波は,風がつくる波である。 津波は,海底の地殻が海水を突き上げることが始まりである。 上昇した海水は,つぎに落下する。 この上下動が波として伝播する。 津波の波は,海水の上下動なので,高潮の波とはエネルギーが比べものにならない。 防潮堤は波の伝播を遮るものになるが,伝播を遮られた波は後続の波とぶつかって (干渉して),高い水面上昇になる。 こうして,津波は防潮堤を越える。 『被害想定』が示している「津波の高さ」は,防潮堤で海面が上昇する高さでない。 しかしひとは,「津波高は河川や海岸の堤防を越える高さとはならない」のことばを専ら受け取って,安心する。 |
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