Up 渋谷・新宿地下も津波浸水する理由(わけ) 作成: 2023-11-10
更新: 2023-11-10


    東京都の地形は,つぎのようになっている:
地理院地図から引用・加工


    地図の右半分が河口の河原で,左半分が河岸段丘の台地 (「武蔵野台地」) である。

    地下鉄が河原と段丘をつなぐとき,高低差ができる:
東洋経済「先入観と全く違う「東京の地下鉄」本当の深さ」, pp.2-4 から引用:


    このデータはひとに,「段丘側の地下鉄駅は,津波浸水を免れる」と思わせることになる。
    標高の低い駅ホームもあるが,「海岸からだいぶ離れているからだいじょうぶ」の思いになる。
    渋谷・新宿は,このような地下鉄駅である。
    さて,両駅はほんとうに津波浸水を免れるか?


    血液は,頭のてっぺんにも,心臓から届いている。
    心臓が拍動して血液に圧力をかけているわけだが,圧力をかければ成るというものではない。
    秘密は,血管にある。

    水鉄砲は,中の水を押すと,出口から勢いよく飛び出す。
    出口が小さいことの効果である。
    血管の中の血液の流れは,これと同じ。
    血管は,噴出装置にもなっているのである。

    地下鉄のトンネルは,噴出装置の形になっている。
    どこかの駅のコンコースに津波の泥水がなだれ込み,そしてその圧力が非常につよければ,泥水は地下トンネルの中を爆流する。

    渋谷・新宿の地下鉄駅には,河原とつながっている地下鉄トンネルが低いところにある。
    そこを津波の泥水が通ってくれば,両駅も浸水である。

東京メトロ「路線・駅の情報」から引用
地下鉄渋谷駅構内


地下鉄新宿駅構内



    このように,段丘側の地下空間が津波浸水を免れるかどうかは,河原側の地下空間に津波がなだれ込むときの圧力にかかっている。

    この圧力は,考える要素が多すぎて,シミュレーションで計算するものにはならない。
    総て,実際に起こってみないとどうなるかわからない,というわけである。
    ただし,津波浸水は土地の高低だけで決まるものではないということは,知っておくべきである。