Up 「連帯」の風化 : 要旨 作成: 2016-04-08
更新: 2016-04-08


    「連帯」は,自然発生するものである。
    「連帯」を自然発生させるものは,状況である。

    「連帯」に意味を与えるものは,状況である。
    翻って,状況が変われば,意味も変わる。

    「連帯」は,状況の変化とともに,無意味化する。
    無意味化することは,無くなることである。
    「連帯」は,風化が定めである。


    「連帯の無意味化」とは?
    「連帯」の優先度が下がっていくということである。

    「連帯」は,「個人の都合を抑える」を含意する。
    「連帯」の優先度が高くなる状況は,「個人の都合」の優先度が低くなる状況である。
    災害直後の状況は,この場合である。

    「復興」の作業に入るようになると,「個人の都合」の優先度が高くなっていく。
    これは,「連帯」の優先度が低くなっていくということである。


    「連帯」と「個人の都合」の優先度配分は,ひとによって違ってくる。
    すぐにも生業を立てねばならない者は,「連帯」から速やかに去ることになる者である。
    翻って,生業を立てられない者・生業を立てなくてもよい者・生業を立てる立場でない者──老人,年金生活者,被介護者,家族を失った孤児たち,等──が,「連帯」の優先度を高く保つことになる者である。


    「連帯」は,仮設住宅・仮設施設がこれの在処である。
    仮設住宅・仮設施設の終わりは,「連帯」の終わりである。