Up 「イギリス 行動規制全面解除」の読み方 作成: 2021-07-20
更新: 2021-07-20


    新型コロナでの自粛規制で,経済が壊れ,ひとの生活が壊れる。
    これを放置できないとする政府は,早晩,規制を解除することになる。

    「1日の確認された感染者数」は,検査数を増やせば増える。
    自粛管制は,きりがない。
    よって規制解除する政府は,先ず,感染の危険指標を「1日の確認された感染者数」から「1日の死者数」に変える。
    そして,規制解除してだいじょうぶの理由として,「ワクチン接種率」を掲げる。

    実際,政府にとっての「ワクチン」の意味は,もともとこれである。
    感染は無くならないのであるから,規制解除はマスコミが感染拡大の危険を煽っている中で行うことになる。
    このとき規制解除の根拠として使えるものは,「ワクチン接種率」しかないわけである。

    そして,「今、再開しなければ、ウイルスが活発化する秋や冬になってしまう」(ジョンソン英首相)。
    これは,その通りである。
    マスコミに洗脳され切っている者でなければ,新型コロナが季節性感染症であって秋や冬に活性化することを知っている。


    イギリスの「1日の感染者数」は,日本と比べて桁違いに多い。
    「1日の死者数」も,桁違いに多いときがかつてあり,そしていまも日本より多い。
    では,イギリスは規制解除に進み,日本は緊急事態体制を続けているというこの違いは,何なのか。


    違いでいちばん大きいのは,国の財政に対する政府の考え方である。
    日本の政府は,だいぶ前から,「財政出動」型財政を普通のことにしてきている。
    経済の危機には,財政出動で対応する。
    コンピュータのキー入力で金を生み出し,救済金としてばらまくのである。

    これにより所謂「国の借金」が増える一方となるが,日本の政府は「国の借金」の概念を既に捨てている。
    実際,「国の借金」を理論的に説明できる者はいない。
    「国の借金」は,幻想だからである。
    「国の借金」が幻想なのは,「金」がそもそも幻想だからである。


    規制解除に進むイギリスと緊急事態体制を続ける日本の違いは,国民性の違いもある。
    日本人は,周りに同調し,そして規則で自分を縛ってもらうのが好きなのである。
    主体的になれず,周りに同調する。
    裁量を求められるのを嫌い,自分の行動を縛る規則をつくってくれるよう,お上に求める。
     例: 地方自治体は,地方自治を唱えるくせに,自治を発揮せねばならない肝心なときになると,自分で決められない。
    他の自治体に同調し,国に基準を示し指示を下してくれることを求める。
    しかしこれは,自分でもあまりに情けない。
    そこで,この忍従を「正義」に変える。
    そして,「自分は正義についている」を以て,自分を肯定し,自分に満足しようとする。 (「コンプライアンス」)
    ニーチェの「ルサンチマン」を地で行く国民,それが日本人なのである。


      読売新聞, 2021-07-20
    英の行動規制 全面解除
    接種7割 水際対策は継続
    英国のロンドンを含むイングランド全域で19日、新型コロナウイルス感染対策として導入されたほぼ全ての規制が解除された。 インド型(デルタ型) による深刻な感染再拡大の中でも、英政府はワクチン効果で死亡や重症化を抑え込めるとして規制解除に踏み切った。
     1月に開始したロックダウン(都市封鎖)は3月以降、段階的に緩和され、今回、公共交通機関でのマスク着用義務や対人距離の制限などが解除となり、19日未明にナイトクラブの営業も始まった。 入国制限などの水際対策は継続される。
     英国では、1日の新規感染者が1月以来となる5万人前後に達している。 17日にはサジド・ジャピド保健相の感染が判明し、会議に同席していたジョンソン首相らも濃厚接触者として自主隔離に入っている。 規制撤廃には市民の不安も強く、ロンドン市が市営のパスや地下鉄でのマスク着用を引き続き義務化するなど、国と異なる対応が出ている。
     一方で、英国の全成人の7割近くがワクチン接種を完了し、 [1日の] 死者は 40〜60人に抑え込まれている。 政府としては、ワクチンの効果を根拠に英国の人口の約8割が集中するイングランドで社会活動の正常化を進め、 深刻な打撃を受けた経済の立て直しにつなげる考えだ。

      同上
    英「集団免疫」に強気 規制解除
    「市民任せ」政府に批判も
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     「今、再開しなければ、ウイルスが活発化する秋や冬になってしまう。今でな くて、いつやるのか。これが正しい時だ」。 ジョンソン英首相は18日のビデオメッセージでこう訴えた。 ジョンソン氏は「世界で初めて」(英BBC) とされる感染拡大局面での規制解除に踏み切った。 英政府は、欧州各国に先駆けて進むワクチン接種により「集団免疫圏」を実現できると踏んでいるとみられる。
     英国では成人の88%が1回目の接種を終え、接種2回を完了した人は68%に上る。 英政府としては、全ての成人が2回のワクチン接種を完了すれば、新型コロナウイルスの感染力は低下していく。インフルエンザのように定期的なワクチン接種で感染を抑え込める、といったシナリオを描く。
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